フルメンテナンス②

目次

革靴をドレスアップする

前記事フルメンテナンス①では靴を長く履くための、お手入れについて紹介した。

埃や汚れを落として、保湿することで革のコンディションを保つことをメインに行った。

今回はその続編として、革靴を磨くことにフォーカスした内容となる。

正直なところ、お手入れよりも修練が必要だ。

うまく磨けた時にはその満足感も去ることながら、美しく変化した姿はすぐにでも履いていきたくなるものだ。

今回はフルメンテナンスの締め括りとして、ワックスで靴をドレスアップすることを紹介していきたい。

靴磨きの概要

まず、この靴磨きで目指す姿はつま先やかかとを起点に強い輝きを放ち、そこからゆるやかにグラデーションがかかっている状態。

文章で書く事は簡単だが、実際に手を動かしてみると、その絶妙なバランスの難しさを実感することが多いだろう。

工程は下記の「靴磨き」の手順の通りで、使用するシューケア用品も少ない。

しかし、所用時間は40分くらいは平気でかかることが多い。

– フルメンテナンスの工程 –

 

お手入れ

  1. 埃落とし
  2. 内側(ライニング)のケア
  3. 汚れ落とし
  4. 保湿・補色
  5. ソールケア
  6. 艶出し
  7. 拭きあげ

靴磨き

  1. ベース作り
  2. 光らせる
  3. 芯材のない場所へワックスを塗る
  4. ブラッシングでぼかす
  5. 水研ぎ

使用するケア用品はこちら。

なお、ほとんどはお手入れの工程で使うもので、今回使用するものは4、11~14のものとなる。

1 シューツリー
2 馬毛ブラシ
3 消毒用エタノール
4 水
5 汚れを取る布
6 ハイシャインクリーナー
7 液体クリーナー
8 デリケートクリーム
9 油性クリーム
10 ソールケア用オイル
11 豚毛ブラシ
12 山羊毛ブラシ
13 ワックス
14 ネル布

手順

まず磨く前の状態として、フルメンテナンス①のお手入れを終えたのがこちら。

2年半ほど履いているCARMINAのストレートチップだ。

十分綺麗な状態ではあるが、ここからさらにドレスアップをしていく。

ベース作り

まずはワックスで光らせるための土台作りを行う。

方法は至ってシンプルでワックスを指でとり、靴に塗布していくだけだ。

しかし、最初のここの工程を疎かにすると、光らなくなるので入念に行うことが望ましい。

この段階で塗布するのはかかとつま先の芯材のあるエリアおよびその周囲だ。

芯材の有無はシューツリーを外した状態で指で押すと判断しやすい。

つま先であれば、先端から甲の部分へ押していき、固くなってるところまでが芯材が入っている。

ワックスの乗せ方

塗布の仕方は指で乗せていくように靴にワックスを置いていく。

一度に取る量は指でワックスに触れる程度。

塗る時には1箇所を集中的に行うのではなく、場所を変えながら左右を交互にする方がよい。

その理由は塗った後には乾燥させるというクールタイムが必要だからだ。

乾燥せずにそのまま重ねてしまうと、せっかく塗ったものが動いてしまって塗り重ねることができずに薄い層になってしまう。

複数回に分けて積んでいくというイメージだ。

なお、塗り重ねる回数はつま先やかかとで今回は5回重ねている

芯材の入っていない場所は2回ほど。

その結果、この段階での仕上がりはこのようになる。

白く濁っていてあまり綺麗とは言えない見た目だが、この程度ベースを作っておけばここの工程は終了となる。

また、この靴のように芯材は入っているけど、つま先にしわが入ってしまうケースもある。

そういった場合には、上記画像の左下のように、その履きジワの手前までワックスをのせる。

光らせる

ベース完成までに時間を要するが、この工程で早速光沢が生まれる。

ここで行うのは、ネル布を指に巻いて水とワックスをつけて滑らせることで輝かせていく。

まずはネル布を指に巻いて、布がピンと張った状態にする。

巻き方は問わないが、布の面が張ってる状態がマスト。

歪みがあると、せっかく作ったベースを剥がしてしまうリスクが生じるのだ。

そして、次にそのネル布に水をつける。

ハンドラップという指で押すだけで適量の水が出てくるものを使ったが、無い場合にはワックスのフタなどに水を入れて画像と同量の水(5滴ほど)をつけても問題ない。

水をつけたら、その面でワックスを取る。

その後は、作ったベース撫でていくようにネル布を滑らせる。

鏡面との境目をグラデーションするのが理想となるので、厳密にベースの上だけを遵守して磨くよりも、もっと気軽にはみ出してしまっても問題ない。

すると、このように油膜と言われる光沢が現れる。

その後の同様の工程を続けていく。

滑りが悪くなったら水とワックスを適宜足して磨き続けていくと、拭いた跡も消えて一体感のある光沢になる。

4〜5回ほどワックスと水を足している。

この光らせる工程でのポイントは最初は小さく円を描くように布を動かしていき、油膜が現れてきたら大きく縦横という動きも交えながら磨いていく。

最後の方は触れてるかどうかという強さで素早く動かすと綺麗な光沢が生まれる。

芯材のない場所へワックスを塗る

ここで手に巻いたネル布を外して、再度指でワックスを塗る。

塗るエリアの目安はベースを作ったところと隣接エリア。

下記の画像のブルーのエリアがこの工程でワックスを塗るエリアとなる。

なお、ここで塗るのは1~2回で充分だ。

あくまでも鏡面との境目にも光沢をつけるために行っているので、厚く塗る必要はない。

塗り終えた後はこのようになる。

ブラッシングでぼかす

塗布後は豚毛ブラシを用意して、指でワックスを塗った範囲を力強くブラッシングしていく。

豚毛ブラシは毛に硬度があるので、つま先やかかとなどの鏡面にしたところを傷つけないように注意が必要だ。

次に山羊毛ブラシに水をつけて、豚毛ブラシでブラッシングしたところ+その周囲をブラッシングしていく。

するとこのように鏡面との境目にも光沢を生むことができる。

鏡面ほど光ってないが、クリームだけを塗ったエリアよりは光沢があるというのが理想。

ワックスはベースを作って固めることで強い光沢を持つ鏡面を作ることができるが、履きジワに同様のことをやろうとすると、靴の屈折するときに割れてしまうのだ。

なので、3、4の工程では芯材のないエリアを効率的に光らせるために、指で薄く塗った後に豚毛ブラシ→山羊毛ブラシとブラッシングすることでちょうどいい光沢で割れないようにすることができる。

水研ぎ

最後にネル布の指に巻き、水だけでブラッシングの跡や拭き跡を消していく。

水の量はハンドラップでワンプッシュ分(5滴ほど)で充分だ。

この時は一定方向指を動かすことでこれまでの跡を消すことができる。

この時に水滴が残るようなら水の量が多い可能性がある。

最初は狭く力強く、最後は広く優しく行うと綺麗になりやすい。

磨いた後は靴ひもを通してあげれば完成だ。

ちなみに靴ひもを結ぶ時に指紋の跡がついたら、山羊毛ブラシやネル布で優しく拭くことで綺麗になる。

完成後ギャラリー

目標としていたつま先やかかとを起点に強い輝きを放ち、そこからゆるやかにグラデーションがかかっている状態とまでは言えないが、個人的にはそれなりの仕上がりになった。

今回は革靴のフルメンテナンスの後編として、ワックスを使った靴磨きを紹介した。

フルメンテ前後での比較ができるように片足のみを磨いたが、鏡面に曇りがなく甲も補色されている。

画像でお伝えすることができないが手触りにも大きな違いがあり、磨いた直後の靴はしっとりとしている。

左側(右足):今回磨いたもの

フルメンテナンスを行うことで革靴の寿命を伸ばし、その外観を綺麗に保つことで愛着も増すだろう。

もしも、あなたが自分でうまく磨けなかったりする場合にはプロの靴磨き店にお願いすることをおすすめする。

仕上がりの美しさはもちろんだが、その速さや革靴の状態までアドバイスをいただけることがある。

実際に私も健康診断のように活用している。

また、仕上げてもらった靴は写真に納めて、お手本として磨く際の参考にしている。

是非とも、自分の愛靴を可愛がって欲しい。

ワックスって慣れるまで本当に時間がかかります(今もだけど)。
ここが違う、もっと光らせられると思ってやり続けちゃうことも・・・

でも夢中になって楽しめるのは良いことですけどね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

今回使用したアイテム


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この記事を書いた人

1992年11月生まれ。
190cmの大男の細かい趣味のブログ。
2020年より「こだラボ」を執筆し、2021年2月に「Lab.」に名称変更。
趣味は靴磨き・旅行・読書・ゲーム・ボクシング観戦。

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