フルメンテナンス①

靴磨き
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ゆっくりじっくり靴を磨く

「革靴は手入れ次第で長く履くことができる」というのはよく聞く言葉。

履くと手入れを繰り返すことで、徐々にその姿を変えていくのは魅力の1つだろう。

革靴はケアできないところが、ほとんどないというのも面白い。

※個人で行うには限界なところはあります

目に見えるアッパー(表面の革)のみならず、靴の内側からソールまで手をかけ、最終的にはワックスまで使用して光らせるというのを私はフルメンテナンスと呼んでいる。

毎回行ってるわけではないが、2〜3ヶ月に一度くらいのタイミングで、とびっきりのケアをするのだ。

ここ最近では多くの人の靴磨きを見たり、体験したりすることで使用するアイテムから方法まで少しずつ変わった。

理想の完成形

フルメンテナンスでの完成形は、着用時についた傷がマスクされて革はしっとりしている状態。

加えて、つま先やかかとを起点に強い輝きを放ち、そこからゆるやかにグラデーションがかかっている姿が理想。

正直なところ、完璧にできたと思うことはほぼない。

それでも、磨く前後で明らかに変わるのは満足感が得ることができる上に愛着も増していく。

それでは早速フルメンテナンスの内容を紹介していきたい。

フルメンテナンスの工程

では実際に私が行なっているフルメンテナンスの方法を紹介していく。

フルメンテナンスは大きく分けると、お手入れ靴磨きという2部構成に分けられる。

お手入れというのは靴を長くために履くためのケア。

一方で、靴磨きというのはワックスを用いて光らせることでドレスアップすることだ。

これらを踏まえたフルメンテナンスの工程は下記のようになっている。

– フルメンテナンスの工程 –

 

お手入れ(今回紹介するのはこちら)

  1. 埃落とし
  2. 内側(ライニング)のケア
  3. 汚れ落とし
  4. 保湿・補色
  5. ソールケア
  6. 艶出し
  7. 拭きあげ

靴磨き

  1. ベース作り
  2. 光らせる
  3. 芯材のない場所へワックスを塗る
  4. ブラッシングでぼかす
  5. 水研ぎ

そして、フルメンテナンスを実施する上で必要な道具は下記のモノ。

1 シューツリー
2 馬毛ブラシ
3 消毒用エタノール
4 水
5 汚れを取る布
6 ハイシャインクリーナー
7 液体クリーナー
8 デリケートクリーム
9 油性クリーム
10 ソールケア用オイル
11 豚毛ブラシ

12 山羊毛ブラシ
13 ワックス
14 ネル布

一度で全てを紹介したかったが、あまりにも長くなりそうなので、今回は第1部として「お手入れ」について書いていく。

なお、必要な道具は上記の1〜11までだ。

それ以外のものは次回のフルメンテナンス②で使用していく。

お手入れ方法

今回フルメンテナンスする靴はCARMINAのストレートチップ。

この記事を書いてる時点で2年半以上履いてる出番の多い靴だ。

前回のケアでクリームで保湿をして、ワックスで光らせている。

小傷ができたり、爪先の鏡面が曇り始めたのでフルメンテナンスの対象に。

埃落とし

まずは靴ひもを1番下の箇所を除いて外し、磨くとき用のバネ式シューツリーをいれる。

ほどいた靴ひもは簡単に結んで靴の中に入れておく。

なお、靴ひもを全て外さないのは内羽の靴のみ。

最後の穴から靴ひもを外す時に羽を大きく広げる必要があり、革靴に負荷をかけてしまうことがあるからだ。

シューツリーを入れる目的はシワを伸ばすため

シワに溜まった埃を掻き出すためにも、靴の表面がピンと張った状態が望ましい。

使用するシューツリーは普段保管用に使っているものでも構わないが、指でクリームやワックスを塗っていく工程があるので、思わずシューツリーに触れて汚れてしまうこともしばしば。

専用のシューツリーは汚さずに使いたいという方は別途用意するのが良いだろう。

左:バネ式シューツリー装着

バネ式のシューツリーはかかとを押さえるポイントが小さいものが多い。

したがって、革靴のかかとにピンポイントで負荷がかかる。

しかし、甲のシワを伸ばす力は強いので、革靴を磨く時はこちらを使用している。

シワを伸ばす力は強いが、長時間入れておくことには向かないタイプと言える。

続けて、細く柔らかい馬毛ブラシを使って革靴の埃を落としていく。

ここでは目に見える埃を落とすことが目的になる。

埃が付着したままお手入れを続けていくと、上からクリームをのせることになってしまうので、靴全体をくまなくブラッシングしていく。

また、埃が慢性的に付着した状態は革の油分を奪う。

革にとっては決して良くないことなので、普段から帰宅後には馬毛ブラシで埃を落としてから靴箱に入れてあげるのが良いだろう。

特に以下のポイントは埃が溜まりやすいので注意が必要だ。

  • コバ周囲(上物の革とソールつなぎ目の溝)
  • シューレースの内側

この辺りは埃を掻き出すようにブラッシングしていく。

内側(ライニング)のケア

革靴の内側は汗や擦れなど、意外と負荷のかかってる箇所の1つ。

ここで一度シューツリーを外して、布かコットンに消毒用エタノールと水を含めて軽く拭きあげる。

配合量は半々くらいにすることが多いが、靴によってはライニングの色が落ちてしまうことがあるのでその場合は適宜水をたして薄めるのが良いだろう。

その後、少量のデリケートクリームを指で塗り込んで保湿する。

一度に取る量は下記の画像くらいの少量。

これを複数回塗り込んでいく。

デリケートクリームが乾燥した後にシューツリーを再度入れ、内側のケアは完了だ。

ちなみに乾かずに入れたままにすると、シューツリーが抜けにくくなることもあるので注意。

汚れ落とし

次に革靴表面の汚れを落としていく行程に移る。

前回鏡面磨きや油性クリームを使用している場合には、まず固形のハイシャインクリーナーを用いる。

汚れを取る用の布に少量つけて、鏡面をクルクルと回すようにワックスを溶かしていく。

ハイシャインクリーナー使用時は爪先の縁などで取り残しが起こりやすいので注意が必要だ。

また、前回のケアで油性クリームを使用していた場合には、鏡面磨き以外のところも優しく拭きとるように落としておくとよい。

手で触ってみて、鏡面特有のツルッとしたところが無くなれば完了。

ハイシャインクリーナー使用後はこのようになる。

右:ハイシャインクリーナー使用後

次に行うのは液体のクリーナーで表面の汚れや前回塗ったクリームを取り除く。

ここの工程を疎かにすると、残った油分が酸化したり、ロウの膜が厚く重なっていく可能性がある。

汚れ落とし用の布を用意し、綺麗な面に500円玉ほどの水溶性クリーナーを染み込ませる。

これで靴全体を拭き取る。

おそらく一度では取りきれないので、布の面を変えて複数回行う。

固形クリーナーを使用した箇所もその上から残ったものを取り除くように拭きとる。

ここの工程が完了すると、革靴はすっぴんの状態になる。

左:ハイシャインクリーナー使用後
右:液体クリーナー使用後

艶がなくなって、マットな状態になっていることがご覧いただけるだろう。

ここまでが革靴の汚れを落としの工程だ。

保湿・補色

次にクリームを塗布して保湿・補色をしていく。

今回はフルメンテナンスなので、デリケートクリームを塗った後に油性クリームでカバーするという方法で行う。

イメージとしては水分量の多いデリケートクリームを油分の多い油性クリームで蓋をするようなもの。

まずは先程も登場したデリケートクリームで全体を薄く塗っていく。

塗布後は手触りこそやや変わるものの、艶も控えめで見た目にはそこまで大きな変化は起こらない。

なお、デリケートクリーム塗布後にはブラッシングはせず、軽く布で拭く程度。

油分も少ないので、シミになったりすような事はない。

左:汚れ落とし終了後(すっぴんの状態)
右:デリケートクリーム塗布後

表面のデリケートクリームが乾燥したら、次に油性クリームを塗布していく。

使用するのはSaphir NoirのCreme1925。

このクリームには水分が一切含有されてなく、油分を革の内部れ届けて、表面に残ったろうで靴を光らせる。

塗布量はこれまでのクリーム同様に少ない回数を複数に分けて塗っていく。

特に甲の履きジワは革靴の劣化しやすいポイントの1つなので入念に塗り込む。

こちらも一度に取る量はわずか

全体に塗り終えたら5分間おく。

この工程で指が汚れるのが嫌な人はペネトレイトブラシを使うと良い。

手の届きにくい場所にもクリームを届けることができるので効率的だ。

一方で指で塗ることによって、クリームは体温で溶けやすくなり浸透しやすいという意見もある。

指で塗ったから浸透した!という感覚は正直なところ分からない。

しかし、手で触ることで革表面にトラブルがあった場合には発見することができる。

手でクリームを塗った状態はこのように少し曇った仕上がりになる。

クリーム塗布後は浸透のために5分間おくので、その間にソールケアを片付ける。

ソールケア

やり方は至ってシンプル。

タピールのレザーソールオイルを布に取り出して拭くだけ。

これで終わりだ。

汚れ落とし用と同様の布で構わないので、このオイルを含ませて接地面にオイルを浸透させていく。

以前はクリーナーで汚れを落としてからクリームのソールケアをしてカッサ棒で押し込むこともしていたが、この方法とあまり変化を感じられなかったのでより簡便な方にした。

その結果このようになる。

右:ソールオイル浸透後

これでソールのケアは終了。

これ終わる頃には5分は経過していると思うので、先ほど指で塗ったクリームをブラシで馴染ませていく。

艶出し

使用するのはコシがあり、やや毛の硬い豚毛ブラシでクリームを革の内部に押し込む。

革はデリケートだから繊細に・・・

というよりも、かなり力強く行っても大丈夫だ。

その方が早く綺麗に光沢も生まれる。

ブラッシング後は白い曇りが消えて、このような光沢が生まれる。

右:ブラッシング後

なお、豚毛ブラシは余裕があればクリームごとに色分けをすることが望ましい。

理由はブラシの毛先についてるクリームが靴に移るリスクがあるためだ。

余談だが、色ごとに育ったブラシの絵は美しさすら感じる。

拭き上げ

最後に浸透せずに靴表面に残っているクリームを布で拭き取る。

仕上がりのイメージとしては、表面を触ってもクリームが付着せず、外はサラッと中はもっちりというのが理想系だ。

拭いてる面が汚れたら、綺麗な面に変えて布にほとんどクリームが付かなくなったら完成だ。

少し残っていたブラッシングの跡も消えて、綺麗に仕上がるだろう。

右:拭き上げ後

これで靴のお手入れは完了となる。

最終的にはこのような仕上りとなった。

鏡面磨きをしないのであれば、この状態で履いても全く問題ない。

さらにドレスアップしたい場合には、ワックスをのせることで美しく光らせることができる。

これはフルメンテナンス②で紹介したいと思う。

コバの手入れをするときも

今回は行わなかったがコバのケアも不定期で行うことがある。

傷や汚れが目立ってきたら、ヤスリで整えてコバインキで補色する。

仕上げにその上からワックスを乗せることで綺麗に仕上げることができる。

下記の画像は過去に行ったものだが、傷が見えにくくなり美しく仕上がる。

右:コバインキ+ワックス

靴を長く履くためのメンテナンス

今回はフルメンテナンス①として、革靴のお手入れについて紹介した。

こうしたケアを10回ほど履いて傷が目立ってきたり、乾燥してるように感じたら行うのが良いだろう。

ここまでやるのは面倒だったり、時間がかかりすぎるという人はクリームだけでも入れてあげるのが長く履くことに繋がるだろう。

そして、自然と愛着も湧いてくるんではないだろうか。

革靴の手入れをする事は、長く履くための機能面の改善、そして経年変化を感じる外観の魅力を増すことを堪能することができる。

少しでも革靴の魅力に関心が深まってくれれば幸いである。

フルメンテナンス②ではワックスを使って、ドレスアップする方法を紹介する。

時間はかかりますが、フルメンテは無になってやり続けられます。笑
次回はワックスを使って光らせていきます。
最後まで呼んでいただき、ありがとうございました。

今回使用したシューケア用品

 

 

 

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