レザークラフト未経験者が敷革を自作してみた

目次

好きな革の上で磨きたい

靴磨き好きの間では、もはや何も珍しさのない敷革というアイテム。

靴磨きを行う際にマットとして使用され、写真を撮る時には綺麗に磨かれた革靴をより映えさせる。

私も例にとらわれず、敷革を以前から使用していた。

しかし、サイズが少々大きかったり、汚れも目立つようになってきたため新調を検討していた。

前敷革 東急ハンズで購入
靴磨き以外にも使用していました・・・

初めは革靴関連の製品としてはお馴染みのコルドヌリ・アングレーズから発売されているシューシャインカーペットに惹かれていた。

とめ具も付いているので、使わない時は丸めて収納できる。

縁にはステッチも入っていて、とても美しく作られている。

しかし、少々高いのとサイズが小さい(48.5×34cm)のがネックで断念。

サイズがUK8~8.5ほどある私にとって、靴を置くのにはもう少し大きいものが良かった。

そのほかにもレザーマットとして発売されているものもあるが、同様の理由で選びきれなかった。

そこで・・・

作ってみるかという発想になった。

好きな革も選べるし、サイズも調整可能も可能。

こうして初のレザークラフトとして、敷革を作ることにした。

革を買ってきて切るだけだし、そんなに難しくないはずだ。

しかし、そんなに甘いものではなかった・・・

こんなものができました

結論からお伝えすると、完成はこんなものになった。

型押しの革で横向きに走る畳シワの跡、裏面やコバは繊維が落ちないように処理をした。

サイズは 60×41cm で靴やケア用品をのせても十分な広さ。

細かいところを見れば、歪みもあるし、直線でもないところが多々ある。

しかし、苦労して作ると不思議と愛着が湧く。

一見すると、切って縁の処理しただけでしょ?と思われるかもしれないが、ぶっちゃければその通り。

けど、それが難しかった。

今回は素人でも最低限の道具さえ揃えれば、敷革を作れることを紹介していきたい。

敷革作成に必要なもの

必要な道具
  • 鉛筆
  • オルファ 別たち(カッター)
  • カッターマット
  • ヘリ落とし
  • 紙やすり
  • トコノール
  • シュプリームデラックス
  • カッサ棒

革は現物を見て決めたかったので、浅草のAnd Leatherへ見に行き、それ以外はネットでも揃えた。

浅草には革の問屋のようなお店が数多くあり、And Leatherだけでも6店舗ほどある。

店舗ごとに揃えている傾向が異なるが、私は浅草橋店(アウトレット革)で安くて良いと思う革を見つけることができた。

And Leather 浅草橋店にて 2,300円で購入 

革の中央に横向きに走る畳シワがあるが、逆にそれが良いなと感じて購入した。

アウトレット店にはこれ以外にも多くの種類の革が揃えられていた。

あわせて読みたい
浅草橋本店 | 革のAnd Leather

敷革の作成方法

敷革の作成方法は非常にシンプルで、切ってコバや床面を処理するだけ。

具体的な作業フローは以下のようになる。

作業フロー
STEP
サイズを決める
STEP
革をカット
STEP
コバの処理
STEP
床面の処理
STEP
保湿・磨き

サイズを決める

まずはサイズを決める。

革靴はもちろん、靴磨き用品を複数置ける広さが欲しかったためA2サイズよりやや小さめのサイズとした。

ちなみにこの場所を選んだ理由は、より繊維の緻密な背中(ベンズ)や肩(ショルダー)付近を多く使用するため。

床面を見ると顕著に差がわかるが、腹(ベリー)部分は繊維が粗い、そしてブヨブヨしている。

どこを使うかが決まったら、カットの補助線を鉛筆で引いておく。

革をカット

次にカッターボードと別たちを用意して、革をカットしていく。

革を切る道具としては、革包丁が使われることが多いが、値段が高かったり研ぐ必要があ流ため、別たちを用意した。

別たちはレザークラフト業界ではかなり有名なもので、革を簡単に切れるカッターのようなもの。

手頃ということもあり、レザークラフト初心者によく勧められている。

補助線に沿って別たちで真っ直ぐ切っていく。

と思ったら、真っ直ぐ切れない

切れ味が悪いわけではなく、刃の入る角度や動かし方が悪かったと思う。

また、革も場所によって厚さが異なり、真っ直ぐ切ることが難しかった。

悪戦苦闘しながら、なんとか切り出した革がこちら。

ゆがみもあるが、まあ良しとした。

長方形に切り出した後は、四隅を丸くカットする。

コバの処理

切り出した革は切り口が少し見た目がよろしくないので、綺麗にしていく。

具体的にはヘリ落としを使って角をとり、紙やすりで整えた後にトコノールを塗って磨くことで毛羽立ちを抑える。

まずはヘリ落としを使用して角を落とす。

イメージとしてはコバに丸みを持たせるような作業になる。

柔らかい革なのでうまく落とせないかもしれないと聞いていたが、まさにその通り。

硬さのあるヌメ革などはスルスルと刃が進むようだが、今回の革では詰まりながらなんとか縁周りの処理を終える。

続けて、紙やすりの600番→1000番でコバ表面をならす。

さらに、トコノールを指で塗り込み、カッサ棒を擦りながら押し当てていく。

※本当はウッドスリッカーの方が良い

この工程を終えると、コバはかなり綺麗に仕上がった。

床面の処理

次に床面を整える。

このままでも使用することができるが、繊維が落ちるのが嫌なのでここもトコノールで抑える。

しかし、繊維の粗いところはこのままだとトコノールでも抑えられと教えてもらったため、別たちですきを入れる。

この状態から薄くすいていく

どこまで攻めてよいか分からなかったため、このあたりでストップしておいた。

もう少しやっても良かったような気もする・・・

次にトコノールを塗り込んでいく。

想像以上に色味が変化したため、少し焦ったが銀面(表)側への干渉はなかった。

その後、全面にトコノールを塗布して乾く前にカッサ棒の平のところを使って擦っていく。

※ここもカッサ棒よりガラス板の方が良いそうです。

繊維が綺麗に寝て、艶やかになった。

この状態になると繊維が落ちることもないため、普段使いがしやすい。

床面の処理はこれで終了。

保湿・磨き

最後に、銀面側の乾燥を防ぐためにコロニルのシュプリームデラックスを塗り込む。

その後、ブラッシングとクロスで拭きあげる。

これで完成。

あわせて読みたい
【徹底検証】革靴のクリーム10種を比較 結局なにが違うのか?
【徹底検証】革靴のクリーム10種を比較 結局なにが違うのか?【結局どれが良い?】靴磨きをしよう。そう思い立った時に、ネットで調べて見ると、とりあえず乳化性クリームを選んでおけば心配ないと知る。同時に、より一層光沢をも...

完成形

完成した敷革はこのようになった。

丸めて収納することも可能。

靴を置いても十分なスペースがあって使いやすい。

これから自宅で靴磨きをする時や、靴の写真を撮る時には出番が多くなりそうだ。

初のレザークラフト?を経験しみて

とにかく難しかった。

そして手間がかかる。

革をまっすぐ切ることもまともにできなかったが、夢中になって作業をしていたのであっという間の時間だった。

こうした経験をすると、日頃使ってる革製品がいかに手間と技術をかけて作られたかを実感する。

敷革作成のために必要な道具をせっかく購入したので、また何か革製品を作ってみるのみ良いかもしれない。

候補としては、この敷革を止めるストラップなんか作れたら良いなと思う。

ちなみに、この敷革作成のために私が新たに購入したものは下記の3つだけ。

敷革の作成費用
2,300円
オルファ 別たち444円
協進エル へり落とし 0.8mm1,279円
合計4,023円

既に所有しているものによってスタートプライスは異なるが、始めやすい趣味なのかもしれない。

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

1992年11月生まれ。
190cmの大男の細かい趣味のブログ。
2020年より「こだラボ」を執筆し、2021年2月に「Lab.」に名称変更。
趣味は靴磨き・旅行・読書・ゲーム・ボクシング観戦。

コメント

コメントする

目次
閉じる