好きなシューメーカーを語る。サンクリスピン

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サンクリスピン(Saint Crispin’s)とは

Saint Crispins Logo

本所在をオーストリアとし、ルーマニアの工房で魅力的な革靴を製造し続けているサンクリスピン 。

生産数はかなり少ないという噂だが、世界中にリテーラーを持っており、多くの革靴好きから愛されている。

私もこのシューメーカーの虜になった1人であり、これまでに2足のオーダーをしてきた。

今回は、そんな愛着のあるサンクリスピンの魅力を好きなように語る。

こんな特徴がある

サンクリスピンの特徴を一言で語るのであれば、絞りの効いた丸みのある靴。

あくまで外観的な特徴であるが、この一言だけで片付けるのはあまりにももったいなく、細かいところも含めればまだまだ魅力は詰まっている。

とりあえず思いつくままに書き記してみた。

  • クラストカーフ
  • ウッドネイル
  • ありそうでないデザイン
  • アーチサポートの高さ
  • 仕上げ剤が多め
  • 芯材が固く広く入っている
  • ハトメは無し
  • タンの裏側にオーダーの概要を記載
  • 標準ウィズがF
  • 付属品も凝ってる(シューツリー・シューバッグ)

多すぎる・・・と思った方もいると思うが、愛が溢れると絞ってこの数なのだ。

では1つずつ見ていこう。

クラストカーフ

サンクリスピンでMTOすると多くの種類の革を選べるが、その中でもクラストカーフは特徴的なもの。

ネットやSNSで見かけるサンクリスピンの靴はほとんどがこの革だ。

クラストカーフとは元々は染色のされていないもので、革をカットした後に手染めで色が付けられている。

そのためあってか、14色と選べる色も多い。

また、よく色が抜けてよく色が入る。

履きジワはもちろん色が薄くなるし、クリーナーを使うと全体的に色が薄くなる。

でも、有色のクリームで手入れをすればすっと色が入る。

シワも深く入るので履いてる日数以上に、色味の変化が著しく、長く履き込まれたような雰囲気をまとう。

ウッドネイル

サンクリスピンの靴は土踏まずの部分には出し縫いがない。

全体的なシルエットで見ても、ここが絞られているとスッキリ見える。

アウトソールを除くと、そこにはウッドネイルが打ち込まれている。

ここもサンクリスピンの意匠の1つと言えるだろう。

ありそうでないデザイン

基本的にクラシックなんだけど、よくみると見ると少し捻ってる。

王道を外したくないけど、少し違うってところを見せたい人にはおすすめ。

ここでは一部のモデルを紹介するが、どれもありそうで無いというのが実感できるだろう。

Mod.646
出典:https://www.saintcrispins.com/product/oxford-with-hand-stitched-cap-vamp-and-heel-2/
Mod.174
出典:https://www.saintcrispins.com/product/long-wing-full-brogue-oxford-with-plain-tip-3/
Mod.660
出典:https://www.saintcrispins.com/product/oxford-new-long-curved-toe-cap-with-perforated-tip-flower/

私も2足目に購入したMod.718もこれまで見たことないデザインに惹かれてオーダーした。

そのシューメーカー独自のデザインというのはよくあるが、クラシックなデザインでありながらよく見ると違う。

サンクリスピンにはそんな外観の靴が多い。

アーチサポートの高さ

一見すると丸みを帯びた靴。

しかし、内側を覗くとギュッと絞られたウエスト。

足を入れると土踏まずを押し上げるようにアーチサポートが盛られている。

土踏まずに沿うようなフィッティングは履いていて心地よい。

仕上げ剤が多め

これまでこのシューメーカーでは2足ほど購入しているが、2足とも仕上げ剤はかなりしっかりと塗られている。

最初にクリーナーで落とす時にはかなり時間がかかった。

心配な方は、プレメンテも兼ねてプロにお願いするのが間違いないだろう。

仕上げ剤を落とす前に記録したサンクリスピンの靴はこちらに記録してある。

芯材が固く広く入っている

爪先とかかとを中心に芯材が入っているが、他の靴と比べると明らかに硬い。

そして、それがかなり広く入っている。

骨格がしっかりしてると言えば聞こえは良いが、馴染むまではやや硬さを感じる。

とは言っても、靴好きにとってはお馴染みの通過儀礼の1つだし、この過程で愛着も増すことが多い。

ハトメは無し

アイレットの補強になる金属のハトメはなし。

セルが大きい金属のものなども、負荷なく通すことができる。

タンの裏側にオーダーの概要を記載

タンの裏側にはモデル、アッパーの革、ソールの識別番号とオーダーナンバーが刻印されている。

標準ウィズがF

既製品として店頭に出てるものは、そのほとんどがFウィズ。

メーカーごとにウィズの基準はあると思うが、Fが標準というのはサンクリスピンぐらいな気がする。

展開もE〜Hとなっているので、サイズを見ただけで合わないと決めつけないように。

付属品も凝ってる

シューツリー

純正のシューツリーは3種類の展開。

中でも特徴なのは、内側をくり抜いたデザインのもの。

革靴にテンションをかけるところはそのままに、軽さも備えているので持ち運びの際にも便利だ。

Hollowed Shoe Trees – Maple
Hollowed Shoe Trees – Maple

公式サイトでは、Hollowed Shoe Trees として販売されており、素材はMapleとCherryから選択可能。

なお、内側をくり抜かれていないものも選択可能(Full Shoe Trees)。

公式サイトのオーダー時の価格はこのようになっている。

Full Shoe Trees – Maple€125
Hollowed Shoe Trees – Maple€166 
Hollowed Shoe Trees – Cherry€184
2021.2月現在

シューバッグ

多くのシューメーカーでは巾着型のタイプだが、サンクリスピンのシューバックは変わった形をしている。

袋状であるのは多くのメーカーとの共通点であるが、内側に返しがついている。

また、口のとじかたはブランド名の印字されたリボンを結ぶようなタイプとなっている。

とてもおしゃれなシューバッグであるが、巾着型と比べて少し持ちにくいところはある。

靴を入れて結ぶとこんな感じに。

国内でオーダーできるリテーラー

公式サイトでリテーラーとして記載されているのは、アジアだけでも中国を中心に13店舗。

のち、日本で扱いがあるのが4店舗。

  • BRYCELAND’S & CO
  • AZALEA
  • STRASBURGO AOYAMA
  • ISETAN SHINJUKU

この中で常時オーダーが可能なのは、BRYCELAND’S & COとAZALEAになる。

店舗でのオーダー経験は、BRYCELAND’S & COだけだが、中敷には店名も刻印されていた。

これ以外にもリングジャケットなどで、一部のモデルが販売されていることもあった。

公式サイトでもオーダー可能

公式サイトからオーダー方法は2種類ある。

  • CYBER FITTING
  • CONFIGURE YOUR OWN

前者では、簡易計測のシートでサイズを測ってサンクリスピン側へ送付。

その後に届くトライアルシューズでフィッティングを行って、本番の靴が届くという形式。

一方で、CONFIGURE YOUR OWN はネット上で完結するオーダー形式。

好きな仕様を入力したら、あとは届くのを待つだけという非常に簡単なもの。

残念ながらサンクリスピンの公式サイトでは、日本語は非対応だが感覚的にでも選ぶことができるほどに分かりやすい。

既にサイズが分っていて、欲しいデザインなど決まってるのであれば、これが一番お求めやすい価格となる。

ちなみに私も2足目はこの方法でオーダーした。

支払いはPaypalが使えるので、支払いのページ自体では日本語にも対応している。

国内のリテーラー、公式サイトからの個人輸入の両方を経験したが、それぞれの価格についてこのようになった。

BRYCELAND’S & CO¥ 231,000-
公式サイトでオーダー¥ 178,263-(関税込み)

どうしても国内の店舗で買うと高く付くが、少なくても1足目はちゃんとフィッティングもできるところでオーダーするのがおすすめ。

また、BRYCELAND’S & COでオーダーした時は、限りなく黒に近い緑にというオーダーも2つ返事でOKしてもらえた。

オーダー上はオリーブグリーンとなっているが、手染めや仕上げ剤で黒を多く入れてもらえた(ような気がする)。

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オーダーで選べること

サンクリスピンのオーダーはMTOでありながら、かなりパーツやオプションを選択することができる。

具体的には、下記の表の通りとなる。

ラスト8種
アッパー(革)16種
ウィズ4種(E〜H)
ソール16種
トゥスチール1種
モノグラム底にイニシャルなど
メダリオン17種類(A~R)
シューツリー3種
フィッティングピース(アジャスター) 

一部補足をしていくと、アッパーに使用される革の種類は16種あるが、この中には先ほど紹介したクラストカーフやアニリンカーフ、ホーウィン社のコードバンに加えて、スエードやグレインレザーも多く揃えられている。

また、それぞれの革のカラーバリエーションも非常に豊富に揃えられているので、選択肢は非常に多い。

※コードバンは+500€のアップチャージ

ソールはレザーソールはもちろんのこと、ラバーソールでもビブラムやリッジウェイソールなどが揃えられている。

中でもレザーソールでは、その厚さを6mm、8mm、10mmの3つから選ぶことができる。

ちなみにこの厚さはコバ全域を含めて計算されている。

その他にも、いくつもの種類のあるメダリオンやソールモノグラムを入れることも可能だ。

このように、かなり自由度の高いMTOであるにも関わらず、納期も6週間ほどと仕上がりが早いのも嬉しい。

※CONFIGURE YOUR OWNでオーダーの場合、一部モデルは納期が長いケースもあり

最後に

今回は好きなシューメーカーを好きなように紹介するということで、サンクリスピンについて書いた。

革靴で有名なイギリスやイタリア、フランスとはまた違った雰囲気を持ってるオーストリアのサンクリスピン。

ありそうで無いデザインやウッドネイルや土踏まずの盛り上がりなど・・・ その独特な魅力にまたもう一足と欲しくなる。

制作の過程も公式のYouTubeチャンネルで見れるので、是非ともご覧いただきたい。

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この記事を書いた人

1992年11月生まれ。
190cmの大男の細かい趣味のブログ。
2020年より「こだラボ」を執筆し、2021年2月に「Lab.」に名称変更。
趣味は靴磨き・旅行・読書・ゲーム・ボクシング観戦。

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