靴磨きの醍醐味と言われる鏡面磨き。
読んで字の如く、鏡のように靴の表面を光らせます。
ろうを主成分とするワックスを重ねて塗って膜を作り、革の表面を平らにします。
そこに当たる光を一定方向に反射する現象を活かしています。
また、そこまで光らせたくないというあなたにも自然な光沢を付与することも可能です。
つまり、ワックスは革靴の光の反射を調節できるアイテムなんです。
靴磨きの工程でいうと、3のポリッシュに該当します。
【靴磨きの工程】
- クリーニング
- 馬毛ブラシで埃落とし
- クリーナーで汚れ落とし
- 保革・補色
- クリームで保革・保湿
- 豚毛ブラシで艶出し・クリーム浸透
- ポリッシュ
- ワックスでベースを作る
- ネル布と少量の水で光らせる
- 水研ぎ
この工程のチャートからも分かるように、クリームの手入れを終えてから行います。
クリームの手入れまでは靴のお手入れと言われ、ポリッシュはおめかしといったところでしょうか。
靴全体を光らせるのではなく、先端やヒールといった芯の入っているところに光沢を乗せるのがセオリーです。
その理由は芯の入っていないところにワックスの膜を作ると、シワが入った時に割れてしまうからです。
磨くとこうなる
磨く前と比較すると・・・
下:ワックスで光沢付与
こんな感じです。
クリームのみの自然な仕上がりも綺麗ですが、ワックスを使うことでよりメリハリができましたね。
何より靴を磨いているというのがひと目で分かります。
クリームまでの工程は靴のお手入れと言われ、ポリッシュはおめかしといったいったイメージです。
光らせるのは芯のあるところ
先ほどの画像でも分かる様に、ポリッシュは靴全体を光らせるのではなく、
つま先やヒールといった芯の入っているところに光沢を乗せるのがセオリーです。
理由は芯の入っていないところにワックスの膜を作ると、シワが入った時に割れてしまうからです。
手順
ポリッシュ
- ワックスでベースを作る
- ネル布と少量の水で光らせる
- 水研ぎ
手順は上記の通り、至ってシンプルです。
しかし、初めて行う場合には1時間くらいは平気でかかると思うので、お気をつけ下さい。笑
私が初めてポリッシュにチャレンジした時は2時間くらいやってました。
というのも、この鏡面磨きはこだわると終わりのないチャレンジになります。笑
このくらい光ったからいいか、でもやっぱりもう少しやるか、、を何度もループするようなイメージです。
それでもある程度光らせるのに30分は見ておいたほうが良いかと思います。
必要な物
- ワックス
- ネル布
- ハンドラップ
中央:ネル布
右:ハンドラップ
代用のきく物もありますが、ワックスだけは購入必須です。
ネル布については目が細かくフワッとしているものだと磨きやすいと思います。
選ぶのが心配な方は靴磨きコーナーに売っているポリッシングクロスなどを購入されても良いかと思います。
ハンドラップに関しては、少量の水を効率よく出すための道具です。
代用はワックスの蓋に水を入れて使いましょう。
ベースを作る
まずはワックスを手で取り、靴に塗っていきます。
このベースというのは、鏡面磨きをするための土台作りになります。
大切なのはワックスを重ねて塗ることです。
ワックスを指で取り、靴に塗り込んでいきます。
この工程を複数回行なっていきます。
ここでポイントですが、2層目以降は塗り込むのではなく、何層も乗せていくイメージで行います。
ワックスを効率よく重ねるためには、塗った後に乾くのを待ってから、次のワックスを乗せていきます。
この乾燥する時間も考慮すると、左足にワックスを塗ったら、乾燥させている間に右足に取り掛かるといったように左右交互にワックスを乗せていくと効率が良いです。
ベースの完成の目安は求める光沢や靴の状態によって異なりますが、今回はこの層を7回ほど重ねました。
この7層というのは、あくまでも私が光らせやすい層数になります。
コツを掴んできたら、あなたが光らせやすい数を見つけてみて下さい!
ベースを作り終えた靴がこちらになります。
指で塗った後や曇りがありますが、ここから光りますのでご安心を。笑
ネル布で磨いていく
ここからはネル布に少量の水とワックスを含ませて光らせていきます。
まずはネル布を手に巻きます。
巻き方は人それぞれですが、磨く面がピンと張るようにすることがポイントです。
そして、磨く面に水滴1〜2滴分の水を付けます。
この水分のつける目的は2つあります。
- 摩擦を減らす
- ワックスが布に染み込むのを防ぐ
乾いた状態で擦ってしまうと、せっかく作ったベースを剥がしてしまうリスクがあります。
また、ワックスは油性のものなので、ネル布に水をつけておくことで、ワックスが染み込むのを防ぎます。
まさに水と油の関係を活かした知恵ですよね。
続けて、ネル布に少量のワックスを取り、先ほど作ったベースの上からクルクルと小さな円を書くように滑らせていきます。
とにかく優しく行なって下さい。
ワックスで光らせる工程で最も難しいのがこの力加減です。
この優しくというのが文章で説明するのが恐ろしく難しいです。笑
初めて行う方は力加減をかなり優し目から開始して、徐々に力を込めていくことをおすすめします。
また、磨いている途中でつっかかるような感覚があったら水を足して下さい。
注意
水が多すぎると光りにくくなるのでご注意下さい。
また、水がワックスを塗っていないところに流れ落ちると、革にもよくないのでお気をつけ下さい。
目安はネル布を滑らせた後に水滴が残るようだと水が多いです。
そして磨いていくと、曇っていた面が徐々に輝いてきます。
この工程を繰り返して行くと、、
だいぶ光沢が出てきましたね!
初めて光らせたときは本当に感動したものです。
小傷をなくしてフィニッシュ
最後は水研ぎという工程になります。
これは磨き後や小傷を消して均一に光っている状態を作るために行います。
この工程に入る前に納得いく光沢感にしておきましょう。
水研ぎを行う時は、これまで使っていた面から新しい綺麗な面に変えます。
そして、水のみを付けて一定方向にひたすらに研ぐ方法です。
磨く方向としては、靴の上(ヒモ側)から下(爪先)にかけて磨きます。
仕上がりがこちらになります。
綺麗になりましたね。
この通りにやったのに光らない!!
紹介した通りにやっても光らなかった!というあなたは工程のどこかに問題があることが想定されます。
具体的には
- ワックスが層になってない
- 革の表面が傷ついている
などが考えられます。
ワックスが層になってない
これは新品のワックスを使うと起こることが多いです。
その理由は新品のワックスには有機溶剤が多く含まれているからです。
この有機溶剤はワックスの柔らかさを保つために配合されています。
しかし、有機溶剤はワックスを溶かす働きもあるので、ベースを作る段階で上手く重ねることができなかった可能性があります。
なので、新品のワックスはフタを開けて1週間ほど放置して、
有機溶剤を飛ばすと使いやすくなります。
革の表面が傷ついている
これは目に見える傷でなくても、毛羽立ちなどが原因で革の表面に凹凸ができてしまった状態です。
部分的に光らない場合などには、一度革の表面を確認してみましょう。
ポリッシュは靴を輝かせる
このように革靴はポリッシュすることで表情を変えます。
磨き方ひとつとっても、もう少し時間をかけたり、ベースのワックスの量を増やしてみたり、そもそも違うワックスに変えてみたりと色々試してみると、一味違った仕上がりになると思います。
ぜひ、色々試してみてください!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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