デリケートクリームを比較

靴以外の革製品にも幅広く使える汎用性をもち、革に潤いと栄養を充填することのできるデリケートクリーム。

ろうの含有量は少ないので、一般的な靴クリーム(乳化性)と比べると、艶感は少なく落ち着いた見た目に仕上げることができる。

とても汎用性が高く便利なアイテムだ。

とは言っても、数多くのシューケアメーカーより発売されているので、どんな違いがあるかってなかなか判断できない。

あれもこれも購入してきたが、各デリケートクリームには違いがあることが分かった。

今回は各社のデリケートクリームを調べて、所有しているものについてはどんな違いがあるのかを検証した結果をお示しする。

目次

デリケートクリーム一覧

ざっと調べられるだけでもこれだけの数があった。

各メーカーと1mlあたりの値段を算出

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※一部内容量の表記がgになっていたので1g=1ml(水と同じ計算)で計算しています

このように内容量も値段も多岐に渡る。

今回はこの中から私の所有している3つのデリケートクリームを比較する。

今回紹介するデリケートクリーム

左から・・・

  • M.MOWBREY デリケートクリーム
  • Boot Black シルバーライン デリケートクリーム
  • SAPHIR NOIR スペシャルナッパデリケートクリーム

今回紹介するのは上記の3つのデリケートクリーム。

先述の通り、値段で比較した場合には、BootBlack シルバーラインのものが頭ひとつ抜けている。

具体的な機能面の比較は下記の通り。

成分の違い

各デリケートクリームに含まれる成分はこのとおり。

M.MOWBREY デリケートクリーム:ラノリン、油脂、有機溶剤

Boot Black シルバーライン デリケートクリーム:ろう、油脂

SAPHIR NOIR Nappa:ホホバ油、小麦プロテイン、ミンク油

どのクリームにも主成分として油脂が入っている。

中でも聞き馴染みのない成分について調べてみた。

ラノリン

こちらは羊の毛から取れる脂を生成したもの。

私は大学時代の専攻が薬学ということもあり馴染みのある成分の一つでもある。

医薬品としては軟膏剤などに使われることがある。

似た成分でワセリンがありますが、ラノリンの方が艶が出やすいようだ。

ホホバ油

こちらはラノリンとは異なり植物由来の油脂。

皮膚への刺激性が低くて安全性の高いことから、化粧品などによく使用されている。

人の肌に用いる時と同様に、保湿力に優れて革を柔軟にすることが期待されるか。

小麦プロテイン

こちらは読んで字のごとく小麦由来のタンパク質。

シャンプーなどにも含有されていることがあるようで、おそらく髪でも靴でも傷ついたタンパク質の補修を目的としていると想定される。

こうして各成分を見てみると、SAPHIR NOIRのNappaはまるで化粧品のような配合にすら感じる。

乾燥比較

続いて、各クリームの乾燥までにかかる時間を比較していく。

方法としては、各クリームを革の端切れに乗せて、指で塗り込む。

その後に10分、30分、60分、90分後に観察してその状態を観察してみた。

まずは塗りはじめの状態。

左からM.MOWBREY、Boot Black シルバーライン、SAPHIR NOIR

ではここから時間経過と共に変化をみていく。

10分後

上:塗布直後 下:10分後

まずは10分経過しましたが、どのクリームにもまだベタつきがありしっとりしている状態。

どのクリームも厚めに塗っているので、全体的にクリームの層が薄くなった。

30分後

上:10分後 下:30分後

どのクリームも全体的に水分が抜けてきたような気がする・・・

若干ですが、M.MOWBREYのものが乾燥が早く進んでいるように見える。

60分後

上:30分後 下:60分後

さすがに1時間立つとどのクリームもシミみたいな残り方になった。

手触りとしては、M.MOWBREYのものがサラサラ、Boot Black シルバーラインはややベタつきがあり、SAPHIR NOIRはしっかりベタつきがあるという感じ。

90分後

上:60分後 下:90分後

最後に90分後の状態。

M.MOWBREYは60分後と比較して大きな差はなく、表面はサラサラしていました。

ライニング(靴の内側の革)に塗るにはこれが最も適しているのではないか?

Boot Black シルバーラインは更に乾燥が進み、表面はツルツルになっていた。

どのクリームも厚く塗っているのでシミのようになっているが、このクリームは一番目立ちにかったのが特徴か。

SAPHIR NOIRのものはまだベタつきがあった。

他のクリームとは成分にも違いがありましたが保湿という点ではこのクリームに軍配が上がるんではないかと思う。

そして、どのクリームでもシミのようになっています。

クリームは厚塗りせずに、ブラッシングして均一に内部に押し込むことが必要であることを改めて実感する結果に。

バイアス

今回の検証で先述の結果を示しましたが、拭うことのできないバイアスがあります。

  • 塗ったクリームの量が目分量
  • ブラッシングしていない

今回はあくまで目で見た同等量を指で塗り込んでいるだけなので、実際に丁寧にブラッシングをしたら、結果が変わってくる可能性もある。

ポジショニング

ここからは独断と偏見で各デリケートクリームのポジショニングマップを作成した。

まずは保湿×値段の2軸でみてみると・・・

先ほどの検証でもあったようにSAPHIR NOIRのものは保湿力がしっかりある。

値段は高いですが、それだけのクオリティはありそう。

また、Boot Black シルバーラインは圧倒的なコスパ。

使用量の多いデリケートクリームにはコスパも重要な因子だと個人的には思う。

次にツヤ×香り

SAPHIR NOIRは好みが分かれると思いますが、大多数の人にとってよい香り?が強く放たれている。

他の2つは普段使っているときに特別に匂いを感じることはないが、鼻を近づけてみるとBoot Black シルバーラインは有機的な匂い(ちょっと苦手)。

例えが圧倒的に下手だが、M.MOWBREYは絆創膏の匂いを薄めた匂い?に感じた。

持っている方は是非試して欲しい(冗談)

そして靴に塗布して磨くと、SAPHIR NOIRとBoot Black シルバーラインは結構艶が出る。

一方で、M.MOWBREYは控えめでマットに仕上がった。

仕上がりのイメージに応じて使い分けるのもおすすめ。

用途に合わせたおすすめ

今回は私の所有しているデリケートクリームの比較した。

どれがおすすめ?

と言われて一概に答えられないが、ざっくり棲み分けをするなら・・・

  • 汎用性 → M.MOWBREY デリケートクリーム
  • コスパ → Boot Black シルバーライン デリケートクリーム
  • 保湿  → SAPHIR NOIR Nappa

M.MOWBREY デリケートクリームはベタつきが少なく艶も少ないので、靴はもちろん他の皮革製品にも使いやすい印象。

デリケートクリームは一部を除き、皮革製品全般に使えるが、その中でもこのクリームは特に使いやすいと思う。

また、先ほども紹介したようにライニングに塗り込むのもこのクリームが使いやすいように感じた。

Boot Black シルバーラインのデリケートクリームはコスパに注目が集まるが使いやすさも申し分ない。

シミにもなりにくく、光沢も出るので自然な仕上がりを目指すのに適しているかも知れない。

このシルバーラインはBoot Blackの中でも初心者でも扱いやすいことを売りにしているようなので、扱いやすさと手ごろさはこれに勝るものはないでしょう。

最後にSAPHIR NOIR Nappaですが、こちらは値段は高いものの保湿をするという点では最も優れている。

香りも良く、靴磨きのひと時をより楽しい時間にしてくれるもの。

艶もあるので、このクリームで自然に仕上げるのも良いですし、重ねて油性クリームを塗りこんで上品な艶感を楽しむのも良いかと。

比較してみて

今回はデリケートクリームを比較してみたが、シンプルに面白かった。

たかだか3つのクリームを比べるだけでも様々な違いがあり各クリームに特徴を自分の中で整理できた。

普段何気なく使ってたクリームでなんとなくは分かっているつもりでしたが、こうして文章として書き出してみるとまだまだ知らないことが多すぎるのを強く実感する。

今後もこういったケア用品の比較も行なっていくのも面白そうなので、

是非ご覧いただけたら幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

1992年11月生まれ。
190cmの大男の細かい趣味のブログ。
2020年より「こだラボ」を執筆し、2021年2月に「Lab.」に名称変更。
趣味は靴磨き・旅行・読書・ゲーム・ボクシング観戦。

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