もっと早く知りたかった
履き込んで、手入れをするというサイクルを繰り返す。
そんなことを続けていると、いつの間にか色味やシワなどの外観に使ってる感と手入れをしてる感が同時に表情となって現れる。
それこそが革靴の魅力なんじゃないかと思う。
今でこそ偉そうに革靴をメインに語るブログでこうして記事を書いているが、革靴の魅力を20歳の時には知らなかった。
しかし、ファッションには強い関心があり、わずかなバイト代もほとんど衣服に使っていた。
昔から、周囲とは少しでも違う存在でありたい。という振り返りたくない痛い思想だけは私の中で強くそびえ立っていた。
全身ヨウジヤマモトの黒の服に身を包み、ヨウジヤマモト以外の服はなくただの布と豪語するほどの尖りっぷり。
さらに、その格好は世間一般から見れば決してお洒落と言えるものではなく、変わった人に見えたと思う。
当時の私は分かる人に分かれば良いという、ひとり悦に入ってる状態だった。
なんとも恥ずかしい。本当に恥ずかしい。
ただ、当時は靴にはお金をかけていなかった。
理由は単純でコーディネートの中で靴は占める面積が少ないから。
いかにも分かっていない感が滲み出ている。
今でこそ、最もコストをかけてるのが靴というのは皮肉なものだが、どうしてもっと早く革靴の魅力に気づけなかったんだと思う。
今回は20歳の自分のような、まだ革靴に関心のない人にその魅力を述べていきたい。
革靴の魅力
革靴の魅力は多くの人が提唱しているが、私が魅力だと思うのは下記の4つ。
- 経年変化を楽しめる
- 流行が少ない
- 長く使える
- 表情が変えられる
これらをみていくと、革靴の面白さを感じられると思う。
経年変化を楽しめる
革靴の魅力と言えば、「経年変化」というのはよく聞くが、20歳の自分にそれを言っても確実に響かっただろう。
言葉を変えると、正しい手入れをすることで使い込まれているのに綺麗な状態を楽しむということ。
世の中のほとんどのモノは、時間の経過と共に劣化という下降線をたどる。
それは革靴も例外ではないが、劣化に相反するように見た目の美しさは向上していくのだ。
使い込まれてるのに革がしっとりしていて、なんだかじんわりと艶もある。
よく見れば傷やシミもあるけど、歩くたびに同じ履きシワが折り畳まれるその様子は、まさに味のある状態だと思う。
この状態はたくさん履いて、手入れをすることでしか味わうことができない。
私はモノを大切に扱っていますという証明書のようなものだ。
このブログでも経年変化の記録をまとめているが、記録をする度にその風貌が変わっていることを実感する。
流行が少ない
衣服の流行とは本当に短いスパンで変わる。
特に女性ファッションの流行は目まぐるしい速さだ。
だが、革靴はにはそう言った流行に左右されるものが少ない。
全くないと言えば嘘になるが、多くのシューメーカーではその定番のモデルが用意されている。
そして、いつでもそのモデルは愛用され続けているのだ。
長く使える
これはもちろん「正しい手入れをすれば」という条件付き。
決して難しいことではなく、最低以下の3つのことを忘れなければ十分だ。
- 乾燥したらクリームをいれる
- 帰宅後にホコリを落とす
- 履いていない時にはシューキーパーを入れて形を整える
これらを行うことで、経年変化を楽しみながら長く愛用することができる。
手間ではなく、愛でるだと思えば向き合い方も自ずと変わるはず。
表情を変えられる
長く履くことで革靴の見た目は変わっていく。
手入れでクリームを使えば、色も補色されて見栄えが変わる。
それ以外にもドレスアップの手法として、ワックスを使うことがある。
これは、ロウを主成分として作られた革靴に局所的な輝きを与えるモノ。
爪先やかかとだけを強く光らせて、ドレッシーな表情にすることもできるのだ。
一方、逆にツヤを抑えたマットな状態に仕上げることも可能。
これはロウ分の少ないオイル系のケア用品で行う。
このように自分の好みで色々試すことができるのも魅力の一つだろう。
革靴のデメリット
ここまでは革靴の魅力を語ってきた。
しかし、残念ながら革靴のデメリットもあるので触れておく。
雨の日に履けない
やはり革製品であることから、雨には強くない。
昨今では、雨でも履ける革靴も多く存在するが、多く革靴は雨の日は避けるべきだろう。
梅雨などの雨が連日続く時にはなかなか出番が少なくなる。
それでも革靴を履きたい時や履かなければいけない時の対策は、ラバーソールの革靴や防水スプレーを使用することもある。
でも、普段から油分の多いクリームを使っていると、小雨程度ならば弾くのでそこまで気にもならない。
シンプルに高価
革靴の最も大きな参入障壁は、その価格だと思う。
20歳の自分に革靴を勧めることができたとしても、一番引っかかるのはここではないか。
長く履けるちゃんとした革靴というのは安くても2〜3万はする。
加えて、ケア用品やシューキーパーなどを加えると、どんなに安くても+5,000円はみておく必要がある。
最初のコストはどうしても高い。
でも、一度手にすることができたらしばらくは使える上に、ケア用品の買い替えも1年以上先になる。
シューキーパーに関しては一度購入すれば終わりだ。
20歳の時に3万円というお金を捻出するのは本当に大変であることは身に染みて分かっているつもりだ。
でも、そこからなんとか絞り出せて革靴を買うことができたら、その愛着はより深いものになると思う。
長い目で見れば決して高すぎる買い物ではないことを早く知りたかった。
それでも一生ものは難しい
良い革靴は一生モノと言われることが多い。
しかし、20歳の時に購入できる革靴はそこまで数が多くないだろう。
そうすると着用回数も多くなるし、美しい経年変化の陰で劣化も確実に進む。
仮に80歳まで革靴を履いたとして、残りの60年間履けるか?と考えるとそれはおそらく難しいだろう。
というのも、長く使えるというのは靴のソールが減ってきたら、何度も張り替えながら履いていくことになる。
上物の革(アッパー)にクラックと呼ばれるひび割れが大きく出てしまうと、それを完全に直すのは難しい。
しかし、それを差し置いても革靴は長く使える。
実際に私は大学生の時に購入したローファー はつい最近まで所有していた。
期間で言うとおよそ5年ほど。
しかも、シューキーパーもトゥスチールもつけてなく、雨の日でも履いていたのでとんでもない状態ではあった。
購入時よりシューケア方法を知っていればさらに長く使えたと思う。
おすすめの革靴
ここからは20歳の自分におすすめの革靴を。
なお、ここでおすすめする革靴の条件は下記の通り。
予算 | 〜4万 |
色 | 黒もしくは濃茶 |
形 | ローファーもしくは外羽根プレーントゥ |
備考 | 着用経験のあるものだけ |
なぜこんな条件なのかと言うと、20歳の自分を想定したからだ。
お金なんて当然なかったし、毎日私服だったのでカジュアルでも使いやすい色味やシルエットの靴に絞っている。
あとは着用経験のある靴のみ。
コスパが良いと呼ばれる革靴はいくつもあるけど、長い期間履いたことのない靴を紹介できるほど私は詳しくない。
そんな条件を踏まえて、まず紹介するのはジャランスリワヤというインドネシアのハンドメイドシューズ。
ジャランスリワヤ プレーントゥ
シンプルなデザインで主張の少ないプレーントゥ。
おそらく、20歳の自分に勧めたらまずはカッコよくないと言われる。
個人的な尺度だが、プロダクトとしての格好良さは内羽根のストレートチップなどが好きな私。
でも、当時は学生なのでスーツなんて着ないし、ラフな格好にも合う靴と言ったらこのプレーントゥの方が合う。
履いてみてどちらが合うかとという点は忘れてはいけない。
それは今も同じ。
ジャランスリワヤ ローファー
続いて、ローファー。
20歳は過ぎていたけど、私も大学生の時に実際に履いていた。
当時は楽天カードを作った時に大量にもらえたポイントを駆使して購入したと記憶している。
ローファーはドレススタイルで着用すれば抜けかんが出るし、普段カジュアルな格好をしていても問題なくハマる一足だ。
ただし、紐がないのでサイズ感はとても大切。
緩くなってしまうと、インソールなどで別途対応が必要になってしまうので、まずは店頭でサイズを確かめることが大事になる。
以上が私のおすすめする革靴。
繰り返しになるが、靴はプロダクトとしてのかっこよさだけでなく、履いたときに自分の装いに合うかは長く使う上で大事な観点だと思う。
あなたに格好に合う靴を選ぶべきだ。
もっと予算を出せるからこんな靴が欲しいという人がいればSNSの方で気軽にDMして欲しい。
私の知ってる範囲でよければお付き合いします。
モノを大事に扱う習慣がつく
モノを大切に使うという習慣を革靴から学んだ。
それまでは安いモノを履きつぶしては捨てるというのを繰り返していたが、今では一度買った靴はほぼ捨てない。
手放すときはフリマなど次の方に回すのだ。
また、磨かれた靴というのはその人の印象付ける一つの因子であるにも関わらず、社会に出て靴が汚いまま働く人はいくらでもいる。
でも、少しでも革靴や靴磨きに関心を持っていれば、目についてしまう。
ふとあなたの足元を見た時に靴が綺麗に磨かれていたら、細かいところまで気にしてる人という印象になるんじゃないか。
こだわったものは背伸びしてでも手に入れて長く使いたいというのが私のモノの持ち方。
まずは革靴だけでもそんなモノの持ち方をしてみるのはいかがだろうか?
20歳の時にもう少し革靴に目がいってたら・・・
でも、その魅力を後からでも気付けたのは幸いでした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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