皮革ハンドブックを読み解く① 〜革の特性とは〜

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皮革ハンドブックとは?

自分の趣味をもっと深く掘り下げてみたい。

そんな想いから手にしたのが「皮革ハンドブック」という分厚い本。

今は絶版となっているので、定価の8,000+tax よりもだいぶ高いお金を払って手にした。

定価もかなり高価

内容はどんなものかと言うと、革とその周辺情報がこれでもかと記載されている

私も革製品を愛する1人として、背景知識があったらもっと楽しめるのではないかと思って手にした。

ただ、この本の中身は難解な文章も多い。

と言うのも、化学の知識があることが前提に話が進められているのだ。

幸い、学生時代に薬学を専攻していた私にとってはそこまでハードルの高いものではないが、所々で言葉の意味を調べながら読み進めている。

この『皮革ハンドブックを読み解く』というシリーズでは、この本に記載されてる内容で個人的に面白いと感じるところをピックアップして紹介していきたいと思う。

あまりにも需要がなければすぐに辞めます。笑

その第1回としては、革の特性について触れていく。

この本でも第一章にあたるところだ。

面白い情報もいくつかあったので参考にいただけると幸いである。

皮革製品はコラーゲン繊維でできている?

我々が普段から愛用する革製品は、元を辿ると動物由来のモノになる。

しかし、採取された皮(原料皮)の状態ではすぐに腐敗してしまう。

そこで、革製品として使えるところを抽出して、その特性を変えるということを行う。

まずは動物の皮というのがどのような状態かを簡単に説明すると、表面は毛で覆われており外側から乳頭層、網状層、皮下組織といった順で構成されている。

その中でも乳頭層と網状層は真皮と呼ばれる。

この真皮のコラーゲン繊維が革に必要な部分となる。

革の基本特性はコラーゲン

コラーゲン繊維は繊維の太さ、枝分かれの度合いと交絡の密度ならびに繊維の配向性などは、革の機械的強度や伸び、理化学的性質に決定的な影響を及ぼす。

また、コラーゲン繊維は乳頭層と網状層に多く存在しているが、前者の方が細い繊維で密度が高く絡み合っている。

そのため、伸びと透過性が小さくなるのだ。

なお、この乳頭層は革になった時には、我々がよく耳にする銀面と呼ばれる。

コラーゲンの強度特性

本著ではコラーゲンの強度特性についても触れられている。

コラーゲン羊毛ナイロンセルロース
引張強さ(MPa)500176539430
切断時伸び(%)53352511
参照:日本皮革技術協会編(2005年)『皮革ハンドブック』 樹芸書房(P1 表1-1)

この表からも分かるように、コラーゲンはナイロンに近い強度持ちながら伸縮性も兼ね備えていることが分かる。

また、普段スーツなどに用いられる身近な羊毛(ウール)の約3倍ほどの強度があることにも驚きだ。

皮から革になるには?

ここまでで、革製品はコラーゲン繊維が主体にその特性を持っていることを述べた。

では実際に動物から採取した皮から、我々が普段から愛用する革になるのは何が必要なのか?

それがなめしと言われる工程だ。

前述のように皮の状態では腐敗が進んでしまい、とてもではないが普段使いできる状態にはない。

ここでざっくりとしたなめしまでの工程を紹介すると・・・

 

①皮下組織、肉片、脂肪を取り除く。

※ちなみにここで残してしまうと革となった時に伸縮性のない硬化した部分として残ってしまうようだ

 

②脱毛・石灰づけという工程で原料皮中に含まれる非コラーゲン繊維(主に毛と表皮)を除去

 

なめし

 

 

本書ではなめしに至るまでの工程も非常に細かく書いてるが、今回は割愛する。

イメージとしては、皮のいらないところを取り除いた後に必要な部分に対してなめしという工程を加えることで革にする。

なめしとは何が行われているのか?

革製品の好きな人には既にご存知の内容であるが、なめしという工程の目的は生成した不安定なコラーゲン繊維を安定化するということ。

これによって革という材料に変わるのだ。

この安定させるというのは、コラーゲン繊維と化学物質(なめし剤)を反応させることでタンパク質構造内に化学的な架橋構造を付与している。

いやいや、タンパク質に架橋ってなんぞや?というのは最もな意見。

ざっくりと説明すると、なめし剤を加える前のコラーゲン繊維はこのようになっている。

そこになめし剤を加えることで、架橋を作るというのはこのようなイメージだ。

このようにコラーゲン繊維内、繊維間で架橋を形成して安定化するのだ。

このなめしによって得られる効果としては以下のようなものがある。

  1. 熱・水・光に対して安全性の向上
  2. 強度、柔軟性、耐久性、耐摩耗性の向上
  3. 染色性の改善

このように、なめしの工程を経ることでより私たちの身近な革製品の性質に近くのだ。

それにしても、革製品ができるまでというのはいかに多くの工程があるのかを痛感させられる。

なめし剤の種類によって付与するされる効果が異なる

なめしによって皮から革になることは述べたが、なめし剤にもいくつかの種類がある。

そして、どのなめし剤を用いるかによってその効果は異なる。

私はこれまでクロムなめしやタンニンなめしなどは、名前こそ聞いたことはあったもののその違いなんて全く知らなかった。

本書では各なめし剤がもたらす効果を下記のように記されていた。

熱縮温度℃耐熱性染色性弾力性可塑性充填効果吸水性色調
クロム77-120×淡緑味青
タンニン70-89×黄〜赤味茶
合成鞣剤63-88×〜△△〜○△〜○黄味茶
アルデヒド63-85△〜○××〜△白〜黄
ジルコニウム75-97
油鞣し50-65×××
◎:非常に優れている ○:優れている △:普通 ×:劣っている
※可塑性:変形すると元に戻らない性質
参照:日本皮革技術協会編(2005年)『皮革ハンドブック』 樹芸書房(P24 表1-7)

こうしてみると、なめし剤毎にかなり個性が出る。

また、なめし剤を複数用いる複合なめしと言うのも一般的に行われているようだ。

その中でもクロムなめしは多くのなめし剤とのコンビネーションが可能。

特にタンニンなめしとは効果を補完し合う位置付けにあるため、現在は製革体系における2本柱となっている。

ちなみにタンニンなめしされた染色のされていないのがヌメ革だ。

あの色味がタンニンの色ということなのだろう。

また、このなめしの特徴から革靴一つとってもレザーソールはタンニンなめし、アッパーはクロムなめしされたものが多いそうだ。

より一層革製品を大切に使おうと思った

今回は『皮革ハンドブックを読み解く』シリーズとして最初の記事。

内容は革の特性に触れるものであったが、革になるまでにいくつもの工程や時間がかかることが分かった。

今回の内容をまとめると・・・

・皮から必要なのは真皮のコラーゲン繊維がメイン
・コラーゲン繊維は強度と柔軟性を備えた天然素材
・なめしによって皮→革になる
・なめし剤の種類によって付与される性質が異なる
 

元々は動物の皮膚ということはもちろん分かっているが、ほとんどの人が現代生活で完成された革製品を使っている。

私の手元にある革製品も数々の工程を経てできていることや動物由来であるということからもより一層に大事に使わなければならないと改めて考えさせられた。

そして、この本はとにかく内容が深い。

今回はまだまだ浅いところで私が文字で説明できるところのみを紹介した。

次回の『皮革ハンドブックを読み解く』では今日とはまた違った内容を掘り下げていく。

この本は読み切るまでにどれだけかかることやら・・・

でもそれ以上に内容が面白い!次回もお楽しみに!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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