グリーンのホールカット
好きな型、好きな色、好きなシューメーカー。
自分の好きをとことん突き詰めたものがこの革靴だ。
「好き」が先行するあまり、この1年間はかなりのハードスケジュールで着用していた。
革靴の経年変化は、所有時間よりも使用時間の方がその指標として相応しいと思っている。
Saint Crispin’s の靴を1年かけて431時間履くとどんな変化をするのか?
それを記録として残そうと思う。
どんな靴?
Saint Crispin’s とはオーストリアにあるシューメーカーで、工房はルーマニアにある。
全体的に丸みがありながら、土踏まずはくびれの効いたラストが多い。
この靴も初めて履いた時にも、足の内側の当たり方がこれまでの靴と大きく違うことを実感したものだ。
シューメーカー | Saint Crispin’s |
モデル | Mod.114 |
カラー | ダークオリーブ |
ラスト | CLASSIC |
サイズ | 8E |
どれだけ履いた?
続けて、履き込みの記録。
ここ1年で最も履いた靴だ。
着用回数 | 55回 |
着用時間 | 431時間 |
手入れ回数 | 8回※ |
※購入後 2ヶ月は週1回クリーム
オリーブグリーンと言えば、色の名称だけでもお洒落に感じるが、着用シーンは限定的になる。
「今日はこの靴が履いていけるだろう」と思った日は、基本的にこの靴を選択していた。
ケア方法
手入れ方法としては、履き下ろし後は少し特殊なことをやっていたが、以降は通常のクリーナー▶︎クリーム▶︎ワックスの靴磨きを行った。
- 履き下ろし後、2ヶ月間は週1回油性クリーム
- (それ以降)デリケートクリーム+油性クリーム 1回/1〜 2ヶ月
- 色:ブラック、ダークグリーン
購入後、 2ヶ月程は週に1回油性クリームを入れるということを行っていたが、効果があるのかわからなくなり中止。
以降は1〜 2ヶ月に1回くらいのペースで、クリームはデリケートクリーム+油性クリームという組み合わせが多かった。
色味はダークグリーンと黒を混ぜて、靴よりも少しだけ暗い色にしていた。
どんな変化をした?
ここからは分かりやすいようにワックスを落とした状態での画像で紹介。
※新品▶︎(前回の記録時)▶︎現在
新品の時には、黒のワックス(仕上げ材?)でコーティングされており、かなり暗めの色であった。
定期的な手入れを続けた結果、今は暗めの緑に落ち着いている。
また、履き口も少し横に広がってきた。
トゥ
トゥは綺麗な状態でキープしている。
普段、仕事では車に乗っていることが多いので、ぶつけないように意識していた。
ラウンドで薄く作られたトゥは、気に入ってる点の1つ。
甲
歩行時に負荷のかかる甲。
他のSaint Crispin’s を扱った記事でも紹介しているが、ここのクラストカーフはシワが深く入る。
いわゆる「履き込んだ感」は、ぱっと見でもよく分かる。
サイド
靴を置いて横から撮る?
靴の内側には、土踏まずに深く差し込むベベルドウェスト、さりげなくサイドシーム。
正面から見れば、丸みのある柔らかい印象の靴に見えるが、内側を見るとエッジの効いた別の靴のように感じる。
肝心の経年変化だが、シワがちらほら。
補色の強いクリームを使っているので、色の抜け感みたいなのはあまりない。
ヒール
ここは両足とも、芯材の境目である上部にシワ。
また、なぜかヒール中央にも真横に伸びた跡がついている。
踵を踏んで芯材を曲げた訳ではないので、どこかでぶつけたものかと思われる。
ソール
目を引くのはウッドネイル。
この意匠もSaint Crispin’s を代表するものだ。
ソールケアはたまにで良いと紹介されているのをよく見るが、最近では靴磨きのタイミングに合わせて毎回行っている。
地面と直接触れて削れるものなので、毎回ケアをしても次回の手入れをする時にはその痕跡はないことが多い。
ソール交換はまだ先になると思うが、トップリフトの交換は視野に入れておきたい。
注意が必要?
1年間履いてみて非常に完成度の高い靴であることは体験済み。
しかし、革靴もモノである以上、劣化もする。
この靴で少し気になり始めていることもある。
- 硬い芯材の周囲
- 深いシワ
硬い芯材の周囲
Saint Crispin’sの革靴は芯材がかなり硬い。
そのせいあってか、芯材の入っているところとそうでないところの境目に亀裂が入らないか不安視している。
長い期間は履かれた革靴は、芯材のシルエットが浮かび上がったように見えるものは多くある。
しかし、Saint Crispin’sの芯材は硬いこともあって、芯材の入った境目に物理的な負荷がかかりやすい。
購入後、 3ヶ月以降からはライニングのデリケートクリームでのケアは怠らないようにしている。
深いシワ
Saint Crispin’sの革と言えば、「クラストカーフ」のイメージが強いがこの革の経年変化は他の革とは少し異なる。
まるでタイムスリップして履かれてのか?ってくらいにシワが刻まれる。
履きシワからわずかに抜ける色の変化などは経年変化の醍醐味でもあるが、深すぎるシワはその耐久性はどうなのか?と少し不安に思うこともある。
現状、クラックになりそうなところは見当たらないが、慎重に観察しておくに越したことはないだろう。
ただ、この深いシワが出す雰囲気はどうしても嫌いになれない。
むしろ好きなくらい。
2年目へ
あっという間に 2年目に突入してしまったが、1年間履いてみて愛着はさらに増した。
今回の記録をまとめるとこのようになる。
- フィッティングは相変わらず文句なし
- 色味が落ち着いてきた
- 履き口は少し横に広がってきた
- 芯材との境目が少し不安
- シワが深く雰囲気が出た
色々書いてきたが、この靴はまだまだ履き込んでいく。
今回は節目の1年で431時間の着用であったが、これが1,000時間とかになるとどんな変化をするのか楽しみだ。
そして、どこかのタイミングで修理が必要になるのも明白。
また頃合いを見て記録を残していこうと思う。
他の革靴の経年変化の記録はこちら
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