「分かった!これでどう?」
そんな言葉と同時に提示されてる価格より少しだけ安くしてくれたマダム。
はじめての異国の地でろくな会話もできなかったけど、ちょっと予算の足りなかった私に対する気遣いをいただいてこの靴を買うことができた。
それがYANKOのホールカット。
初めての本格革靴。
もう、4年も前に大学の卒業旅行でバルセロナに行った時の思い出だ。
まずはストレートチップだろ?
と言われることも多いけど、縫い目のない洗礼された革靴を初めて見た時にたしかに心が踊った。
こうなってしまってはもう引き返せない。
今回は私が革靴に興味関心を持つきっかけをくれたYANKOのホールカットの経年変化について書こうと思う。
YANKOとは?
地中海に浮かぶスペインを代表するリゾート地の1つであるマヨルカ島。
美しい海に囲まれ、歴史的な建造物もある島だ。
今でこそ、こうした観光業が盛んであるが、皮革産業でも有名だったとか。
そんな島の工房で生まれたシューメーカーであるYANKO。
この名前としてスタートしたのは1980年頃のようだ。
今でも一族経営を続けているようだが、創業者はYANKO設立後に同じマヨルカ島でCARMINAを立ち上げる。
その後を任された息子も後にYANKOを離れて、MEERMINというシューメーカーを設立した。
YANKO、CARMINA、MEERMINとスペインを代表するシューメーカーにこの一族が関わっているというのが面白い。
そして、スペイン靴と言えば、よくイギリス靴とイタリア靴を混ぜ合わせたものと形容される。
YANKOはイギリス寄りだろうか?
日本での取り扱いは百貨店などでよく見かける。
あとは木更津の三井アウトレットパークにあるINTERNATIONAL SHOES GALLERYではかなりお買い得に購入できる。
ちなみに同スペインブランドのCARMINAなどの取り扱いもあるので、安く良い靴を購入したいという方は、一度行ってみることをお勧め。
履き込みの記録
この靴の購入時に全て合わせて2足の革靴しか持っていなかった。
もう1足の方も就活のために即席のラバーソールで、新社会人のフレッシュな心持ちとは裏腹にボロボロで踵のゴム底の減り方も露骨だった。
この経年変化の記録シリーズは既に何回も書いているが、この靴ほど履き込み記録が曖昧な靴はない。
それは履いた回数の大半が記録をつける前のことだからだ。
2017年4月から週3〜4回、雨の日も構わず履きまくったのはよく覚えている。
かなり過酷な履き込みをしたものだ。
2020年以降の履き込みはこのようになっている。
2020年 | 2021年(~3/18) | 合計 | |
着用回数(回) | 20 | 3 | 23 |
着用時間(hr) | 147 | 16 | 163 |
2020年以前の記録はなし
間違った靴磨き
過酷だったのは履き込みだけではない。
実は靴磨きも間違った方法を実践していた。
何を隠そう、この靴は初めて買った高級革靴なのだから当然大事に履きたい。
願わくはなるべく長く使いたいという想いがあった。
靴クリーム、ワックスを買ったけど、クリーナーはしばらく所有していなかった。
2週に1回くらいはクリーム重ねて、ワックスを芯のないところも含めて全てに塗りたくっていた。
厚化粧に厚化粧を積み重ねた靴は確実に油分過多となり、雨に濡れれば痛々しいほどの銀浮きも止まらない。
そんな間違ったケアを購入後1年弱も続けていた。
正しいケア方法を覚えてからは、クリーナーを使ってしっかり汚れを落とすようにしている。
丸洗いも2〜3回やっているし、レザーソールには一度穴が開いたためオールソール済みの状態。
4年間の変化
今回のメイントピックである4年間でどう変わったのかを紹介していく。
しかし、残念ながら新品時の写真がほとんどなく「今」の状態をメインに見ていただく事になるのをご了承いただきたい。
履き下ろしの前に撮ったと思われる写真がこちらになる。
After
まずはクリーナー後にクリームだけ入れた状態。
シワが深くてゴワついてて・・・
だいぶマシにはなった方なのだが、左足の爪先の銀浮きも気になる。
インソールに印字されていた文字はわずかに見えるものの、ブランドロゴは綺麗さっぱり消えている。
ドレスアップ
こんな状態でもワックスで綺麗に磨いてあげるとその見栄えもだいぶ変わる。
これだから革靴は面白い。
甲の履きジワが少し心配ではあるが、まだまだ履いていくつもりだ。
これだけ、過酷な使い方をしても革靴としての機能をしっかり保ち、磨けば光るということは革質はもとより作りという面でも良いものなのかも知れない。
出番は控えめに、でも大切に
今後は基本的には、雨靴として活用していく予定だ。
それを見越して、オールソール時にはラバーソールにしている。
こうしてこの靴のことを書いていると、不思議と履きたくなるものだ。
冒頭にも記載したように、この靴は初めて手にした本格革靴。
初の海外に、初の高級革靴を社会人になるという節目のタイミングで購入し、現地では心優しきマダムの気遣いで何とか購入することができた。
マヨルカ島から始まったスペインを代表する高級革靴というキャッチコピー以上の付加価値が備わっている。
出番は減ってもいつまでも履き続けていきたいものだ。
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