ファーストウォッシュ
リジッドのデニムを洗うタイミングは諸説あるが、履き始める前に水を通すことでレングスを合わせて履けるメリットなどがある。
また、それ以降の洗濯で育てた証にもなる『あたり』の位置がずれにくいのも特徴だろう。
一方で、リジッドのまま洗わずに履き始めることによって、濃いインディゴの色味を味わえたり、あたりが付きやすくなる。
すなわち、コントラストの効いた濃淡を味わえる一本を作ることができるのだ。
しかし、私はこうしたことを考えることなく、メーカー推奨のリジッドの状態で6ヶ月の履き込みというのを愚直に信じて行ってきた。
というよりも漠然としたデニムを育ててみたいという興味から、このデニムを手に取った。
育てているのはデニム界ではあまりにも有名なNudie Jeans。
ノンストレッチで綿100%の最も細身のモノを選択。それがGrim Timというモデルだ。
モデルの詳細や履き込みに関するデータは下記のようになる。
モデル | Grim Tim |
オンス | 13.5 OZ |
素材 | 綿100%(カイハラ) |
パッチ | レザー |
着用開始日 | 2020年9月6日 |
着用頻度・時間 | 週7日 約3時間/日 |
備考 | 基本部屋履き |
意気揚々と序文を掲げているが、結果から言えばこのデニムは履く機会がほぼ無くなる姿になった。
こうやって洗った。
洗い方もデニム用洗剤を使ったり、あたりの位置がずれないようにといった調整はしていない。
あくまでゆるく育ててるので、家にあるもので洗濯をすることにした。
でも、今後履く上で譲れない点にはこだわった。
それは下記の2点。
- 縮ませたくない
- あまり色落ちさせたくない
そう。履いていて気づいたのが、レングスが結構短い。
あとは濃い色のデニムが好きということから、過度な色落ちにも注意した。
まず、縮ませたくないので乾燥機は無し。
そして、色落ちも可能な限り抑えるために裏返しにして三つ折りで畳んだ状態でネットに。
その他には局所的な色落ちを防ぐために、洗剤は洗濯機に水を張った後に満遍なく溶かしてからデニムを入れた。
ちなみに洗剤は蛍光塗料こそ入っていないものの、普段から使ってるThe Landlessのシグネチャーデタージェント。
洗濯モードはドライコースで不必要な当たりを防ぎ、洗濯後はよく伸ばして、ハンガーで風通しの良いところに2日ほど放置した。
Before – After
まずは洗濯前のこのデニムがどんな状態になっているのかをお示し。
6ヶ月間履きこむとこのような姿となった。
膝はでろんと出ていて、負荷のかかるところは色味が抜けている。
そして、リジッドデニム特有の硬さは部分的に残しながらも、生地は全体的に柔らかくなったいた。
全体像の画像だけだと細かいところが伝わらないため、ここからは少し細部にフォーカスして見ていく。
まずはバックポケット。
座る時に擦れる場所が色あせ、テカリを感じるところもある。
続けて、腰回り。
ここは履き込み当初より場所を変えずにシワが刻まれ、その深さが増している。
太腿から膝にかけては、最も早く認知できるあたりが形成された。
洗う前から色抜けが容易に確認できる。
少し残念だったのが膝裏(ハチノス)。
画像では横方向に向かってライン状にあたりが付いているが、もう少しその線どうしが干渉しあったものが理想であった。
最後に裾周り。
ここは特段あたりらしいものは見られないが、ロールアップの跡が薄ら見られる。
このように6ヶ月も履き込めばその風合いは大きく変わる。
そしてデニムの変化は洗濯によってさらに表情を変えていく。
次項からは洗濯後の画像を紹介していく。
洗濯後
光の関係で分かりにくいが、若干色味が薄くなって膝の出ていた生地が綺麗に戻っている。
6ヶ月の履き込みでしなやかさの出てきた生地は、再びごわつきを帯びている。
しかし、それは新品リジッドの感覚とは違う性質の硬さ。
ここからは先ほどの洗濯前の細部ディテールと比較してお示していく。
以降の画像は上段が洗濯後で下段が洗濯前の状態となる。
スマホカメラの関係で洗濯前の方が色味が濃くみえることもあるが、光度調整のブレであることをご理解いただきたい。
バックポケット
フロント
膝まわり
膝裏
裾
このように薄らと入ったシワは消えて、深く刻まれた跡のみが残るようになった。
色味についてはあまり落としたくなかったので、まあ問題なくファーストウォッシュを終えられたように感じる。
しかし、着用という面で最も大切であるサイジング。
こちらははっきりとした被害があった。
サイズ
結論から言えば想像以上に小さくなってしまい、今後このデニムを着て外出することは限りなく少なくなるだろう。
薄々気づいてはいたが、洗濯前の段階でも少し丈が足りないなぁと思うこともしばしばあった。
そもそも、このデニムではL32。
メーカーは違うとはいえ、ResoluteではL36をジャストで履いてる身としては明らかに短い。
靴を履かずしてこの丈感。まさにツンツルテン。
中には『丈感問題ないでしょ?ロールアップしなきゃいい。』と仰られる方もいるかも知れないが、フルレングスで履いてもこんな感じ。
洗濯前は履いていてウエストも緩くなって、やや腰で履くようなこともあったので丈感を誤魔化すこともできたが、洗濯後はそれすらできない。
そもそも部屋履きなので、履き方は気にしていなかったが腰履きが好きではない。
残念ながら次回の帰省で実家で履く普段着に格下げだろう。
高い授業料
今回は半年間育てていたGrim Timのファーストウォッシュ後に履けなくなったことを書いた。
補足として記載しておくと、Nudie Jeansは最高のデニムを作っている。
色落ちやデニム自体のシルエットも非常に美しいし、オーガニックコットンを用いたり、リペアを永久に無料にするなどサステナブルを意識した企業姿勢も尊敬に値するメーカーだ。
そんな最高の品質を最低な選び方をしてしまった私のミスで、なくなく履く機会を失うこととなった。
今後、リジッドのデニムを買う機会があったら、サイズは慎重に選びたいと思う。
そして、この記事を見てくれた人のほとんどは私のようなミスはしないと思うが、初めてリジッドのデニムを買う方がいらしたら店員さんへの相談やマイサイズの正確な把握をおすすめする。
次は絶対に間違えない。
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