鏡面をサイドにのせると美しさが増す
ワックスを使って光らせるのは靴の芯材の入ってる先端とかかとだ。
このように学んだ方は多いんではないだろうか?
私も靴磨きにハマった当初、いろいろ調べて芯材のあるところにワックスをのせることを知った。
このやり方で磨くにつれて徐々にドレスアップしていく姿に快感を得て、靴磨きにハマっていったのだ。
しかし、こうした磨きを続けていると・・・
「どうもSNSでみるあの人の磨きと違う、プロの磨きの方がなんだか立体感?がある」と感じていた。
そこで、SNSでアップされている綺麗に磨かれている革靴を観察すると、私の磨いた靴と明らかに違う点があった。
その違いとはサイドを磨いているかどうかという点。
確かにサイドは芯材が入っていないので、当時の私にはワックスはまるで無関与なところという認識だった。
でもここを磨いているかどうかで、個人差はあるものの仕上がりの美しさが一層引き立つのだ。
昔はトゥとヒールのみを磨いていたので、磨いた境目があまりにも目立ち過ぎてしまっていたのだ。
これがダメとは思わないが、今ではもっと自然にバランスよく光っている方が美しいと感じる。
私もまだまだ未熟ではあるがサイドを磨くと光沢に一体感も生まれる。
実際にプロの靴磨きの職人の方にお願いした時は、この横からの絵は上記の画像より遥かに美しく仕上げてもらえる。
革靴の周囲を光沢に強弱をつけながら美しく磨くことは、靴磨き初心者の私が目指すところなのかもしれないと思っている。
磨くのが難しい
とは言っても、このサイドを綺麗に磨くのは難しい。
実際にやってみて感じた難しさは下記のようなものがある。
- 光らせすぎても下品
- 光らせが弱いと分からない
- セロハンテープを貼ったみたいな仕上がり
光らせ過ぎても下品
これは私もよくやってしまうことだが、トゥやかかとと同じくらい光らせてしまうことがある。
こうなってしまうと、見た目は靴に天使の輪がまとわれてビカビカに光ってよく目立つ光すぎてる靴になってしまう。
光らせが弱いと分からない
では光らせすぎてはいけないから、ワックスを少しだけのせて磨こう・・・
すると今度は光ってすらいない。
クリームの光沢となんら差がないなんてこともある。
サイドに使うワックスの量とどこまでのせれば良いかという範囲も難しい。
セロハンテープを貼ったみたいな仕上がり
じゃあ靴の底に近いところにワックスを多くのせて、上に向かうに連れて量を少なくしていこう・・・
と思ってやったつもりが上手くグラデーションにならず、セロハンテープを貼ったような仕上がりになんてこともある。
過去のセロハンテープたちを載せておく。
こんな数多くの失敗を経験してきたが、今は少しだけ上達したと自負している。
次項では実際のやり方を解説していく。
こうやって仕上げている
まず磨き方の前にサイドを仕上げる時に意識していることを列挙する。
- トゥとヒールより控えめに光らせる
- ワックスをのせる範囲は狭く帯状に(底から1 ~ 2cm 程度)
- 鏡面との境目を作らないようにぼかす
実際にワックスを使う前にどう仕上げるかなんとなくイメージをして、トゥとヒールより光沢を抑える。
サイドにのせるワックスは、アッパーの底から指1〜2本くらいの太さで帯状にのせる。
そして、鏡面との境目にぼかしを加えるために豚毛ブラシと山羊毛ブラシを用いるというところだ。
ワックスをのせる
まずはクリームまでのケアが終わった靴に対してワックスをのせていく。
今回用いるのはSAPHIR NOIRのビーズポリッシュワックス(ニュートラル)だ。
このシリーズのワックスがいちばん慣れている。
いろいろ試してはいるがなんだかんだこれに落ち着くことが多い。
まずはワックスを指でとり、磨き上げるためのベースを作っていく。
トゥとかかとには5回ほど重ねている。
サイドも同じ回数重ねているが、ワックスを手に取った直後にいきなりサイドにのせてはいない。
あくまで、強く光らせるトゥとかかとに触れた後に、その残りでサイドにワックスをのせていっている。
もちろん、この工程は革の状態やワックスの伸びにもよって回数などは異なるが、イメージとしてはトゥとかかとよりも薄くという意識で。
複数回のせた後はゆびで撫でてある程度光らせる(ハンドポリッシュ)。
磨いていく
続けてネル布を水を使用して磨いていく。
まずは片足を1周磨くとサイドはこんな感じに。
まだ荒い光沢のうえに、境目がはっきりしている。
少量のワックスと水を2周目以降も続けていくと・・・
(最終的に何回かは忘れたが7~8はやった)
良い感じになってきました。
ちなみに2周目以降はベースで作ったワックスの上だけでなく、磨く面積を拡大していくと光沢の境目がわかりにくくなり良い感じのぼかしになる。
豚毛+山羊毛
次にここまでワックスのせてこなかったアッパーの部分に1層だけ軽くワックスをのせていく。
もちろん甲の履きジワにもだ。
するとこんな感じになる。
このようになったら、次は豚毛ブラシを用いて新たにワックスをのせたところだけを力強くブラッシングしていく。
すると控えめな光沢が出てくる。
これはここまで作った鏡面との光沢の差を小さくすることができる。
加えて、境目をぼかすのにも有効だ。
そして、さらに少量の水(片足=ハンドラップ1プッシュ)をつけた山羊毛ブラシでブラッシングしていく。
この時にブラッシングをする範囲は、先ほど豚毛ブラシで磨いたところに加え、サイドにもブラッシングをかけていく。
イメージとしては、豚毛ブラシで磨いたところよりも範囲広く磨いていく。
そしてその際にトゥやかかとなど強く光らせるところは触れない。
このブラシを使った磨き方は以前にプロの方に伺ったやり方だ。
初めて聞いた時は履きシワの上にワックス?という懐疑的な目を持ってしまったが、確かによく考えてみると、光沢にグラデーションをつけるという点で理にかなっているように思う。
というのは、靴の中心部のシューレース付近やヴァンプ(甲の履きシワのはいるところ)は1層の薄いワックスをブラシで光らせている(光沢:小)。
サイドはワックスでベースを作ってネル布で磨き、山羊毛でブラッシングをかけてぼかしも入っている(光沢:中)
そしてトゥやかかとはベースをしっかり重ねて作り、ネル布で磨き上げる(光沢:高)
これらをまとめると、靴の中央からトゥやかかとに向かうに連れて、光沢が強くなるようになるのだ。
少し脱線したが、山羊毛後はこんな感じに
そして最後にトゥとかかとに水研ぎとサイドも軽く磨いてこうなった。
私がサイドを仕上げるのはこのようなやり方で実践している。
他にもやり方があるかもしれないが、もしもサイドを上手く仕上げられないという方に少しでも参考になれば幸いである。
注意
サイドがある程度磨けるようになって気をつけることを述べておくとすると、履きシワの入るサイドの部分は特に薄くワックスをのせることをおすすめする。
この部分は履いているとシワが入るため、厚みのある鏡面ではどうしても割れてしまうのだ。
シューキーパーを入れてシワを伸ばした状態では綺麗に光らせることはできるものの、履いて数時間後にひび割れという時間をかけたのに一瞬で大惨事になった経験が何度もある。
なので、この辺りを磨く際には注意してほしい。
横から見られることは多い
今回は靴磨きの中でもワックスを用いたサイドの磨き方にフォーカスして紹介した。
なぜこんな細かいところを?と言われれば、靴全体に自然な光沢をまとった姿は美しいと思ったからだ。
加えて、私自身が磨く上で最も苦手なところだったというのもある。
先述の通り、光らせすぎたり、光らなかったり、セロハンテープになったりした経験がそれを裏付けている。
でもここを綺麗に磨けた時は満足感もとても高い。
そしてより一層にその靴を履いて出かけたくなるのだ。
サイドが綺麗に磨かれた靴を見ると、この人は靴磨きや革靴が好きな人なのかなって思います。笑
私は不器用なのでいつも苦戦しますが、綺麗にサイドを磨いた靴などあれば見せて下さい!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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