曲がる靴べら たまみず

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金、銀に次ぐ金属

華やかで輝きを放つアクセサリー

熱が伝わりやすく、料理の温度を感じやすい食器

金や銀といった金属はこうした”高級品”として昔から使用されてきた。

そんな金、銀に次ぐ高価な金属は「」である。

あまりメジャーに使用されるものではないが、実は面白い特徴がある。

それは、人の手の力で曲げられるほど柔らかいのだ。

これは純度の高い錫のみが有する特徴。

画像:錫が曲がる?金属が曲がる?

この曲がる金属の錫を使って一つの靴べらが生まれた。

その名前は、たまみず

見た目は滑らかに作られているが、近づいてみると金属らしい無骨さも感じる。

素材に錫を用いることで、これまでとは明らかに異なる曲がる靴べらとなった。

今回は錫製の曲がる靴べら「たまみず」を紹介していく。

老舗錫物メーカー「能作」の作成

出典:https://www.nousaku.co.jp/history/history/

富山県高岡の地で100年以上の歴史を持つ老舗の能作。

「たまみず」はここの職人によって生み出されている。

能作で発売している商品は、錫で作られたタンブラーやお皿、花器などがラインナップされている。

さらに、精密さの求められる医療製品も手がけている。

もちろん、これも錫を用いたプロダクトだ。

なお、販売元のecou は SANTARIなどの手掛けるTateshoes の舘さんが、新たな製品を発表する場として立ち上げたものだ。

錫鳴きと新感覚

「たまみず」を初めて使用した時、不安になる音と足に伝わる新感覚を実感した。

靴を履く時に、たまみずを添えて足をゆっくり入れる。

この時、ピシッと音を立ててグニャリと曲がった。

「やっちまった。ひび入ったか?」

と不安に思ったが、この音は「錫鳴き」と呼ばれるもの。

錫特有の結晶構造変化によるものであった。

当然、ひびや割れなどはない。

不安は杞憂に終わった。

また、靴べらの表面は滑らかなので、足を入れることに関してもスムーズ。

あれだけ真っ平らだった靴べらは、使用することでここまで形を変えた。

このグニャリと形が変わる様が、足に直に伝わってくる。

これがもう、本当に新感覚。

形を変えるメリット

この形を変えるメリットはどんなところにあるのか?

それは商品紹介でも記載されていたように、靴を痛めにくくすることだろう。

正直なところ、普通の靴べらを使っていれば、靴に負荷をかけているという実感はない。

でも、実は意図せず大きな負荷をかけていたのかもしれない。

実際に、私は飲食店などにあるプラスチックの靴べらを使用して、突然パキッと割れた経験が複数回ある。

靴を履くときにかかる圧力は意外にも大きいのだ。

その点、この曲がる靴べらは足と靴の隙間に入り、圧力に沿って形を変える。

この変形によって上手く圧力を流して、本来は靴にかかるであろう負荷を分散する。

これまでの靴べらでも着用時のサポートという意味では大きな差はないだろう。

しかし、靴に負荷をかけないという点では優れている可能性がある。

2種類の展開とレザーストラップ

商品化に先立ち、たまみずはMakuake でクラウドファンディングのプロジェクトとして立ち上がった。

そこでラインナップされてるのは2種類。

左:槌目手打ち仕上げ 右:艶消し仕上げ
出典:https://ecou.tokyo/
ラインナップ
  • 槌目手打ち仕上げ
  • 艶消し仕上げ

私が手にしたのは、艶消し仕上げ

表面が滑らかで、無骨な金属らしい雰囲気に惹かれた。

なんとも男心をくすぐる、新しいギアとして迎えた。

また、たまみずではレザーストラップも用意されている。

私自身、持ち運び用の靴べらも普段は玄関のフックにかけておくのでこうしたストラップは大変ありがたい。

このレザーストラップの革は、生前の傷やシワをそのまま活かしたカンサビルレザーを用いている。

オイルワックスを含ませているので、メンテナンスフリーで使用できるようだ。

ちなみに、この革を開発されたのは、靴磨き日本選手権大会2019 カラーリング部門で優勝された 斗谷さん

注意点

たまみずは、いくら曲がるといっても一箇所に過剰な負荷をかけると折れる可能性あるようだ。

製造元の能作でも、曲がる錫商品の注意書きが下記のように記載されている。

曲がるシリーズは、曲げた際に製品が簡単に破損しないよう、構造上、一定の強度を確保しています。しかしながら、日々曲げ伸ばすというようなご使用方法には適していませんので予めご了承ください。

https://www.nousaku.co.jp/product/care/

あくまで靴べらとして使用し、それ以上に負荷をかける使い方は控えた方が良いだろう。

と言いつつも、私は手でグニグニと形を変えて遊んでいる。

何度も言うが、金属が簡単に曲がるのが新感覚。

意外と病みつきになる。

こだわりの靴べらを持つ

たまみずのクラウドファンディングは目標金額に対して1100%を超え、100万円以上の応援購入が集まった。

今後、商品化は現在のクラウドファンディングのサポーターの方々へ商品が渡った後に 、ecou のオンラインショップで販売される。

※現在も売り切れと表示されているが、商品画像は見れます。

https://ecou.tokyo/tamamizu/

たまみずのような製品は、職人によって画一的に作られた製品であるにも関わらず、使用者によってその表情を変える。

実際に変形させると、元の状態に似せることはできても完全には元通りにならない。

錫の変形は不可逆的であって、使い続けていくことで形を変える。

その過程で傷もつくだろう。

それら全部を含めて、経年変化の魅力。

こだわりのあるオンリーワンのアイテムを持ちたい方には、もってこいの代物だろう。

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この記事を書いた人

1992年11月生まれ。
190cmの大男の細かい趣味のブログ。
2020年より「こだラボ」を執筆し、2021年2月に「Lab.」に名称変更。
趣味は靴磨き・旅行・読書・ゲーム・ボクシング観戦。

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