SANTARIでオーダーする魅力
よく見ると「おっ」と思わせるデザイン。
痒いところに手が届くフィッティング。
MTOでそんな革靴を作りたい方には、SANTARIをお勧めする。
革靴の聖地、浅草に工房を構えているSANTARI。
もともとアウトワーカーとしてスタートされた舘さんの作る靴は、まさしく筋の通った品質。
面白そうだからという理由で希少な革を仕入れ、少数派の足形に向けたラスト制作。
工房にお邪魔するだけで、毎回新しい「ネタ」が待っている。
そんな魅力あふれるSANTARIでオーダーしていた一足が完成した。
オーダーした靴
革 | カーフ(カールフロイデンベルグ) |
ラスト | SAN-05 |
サイズ | 8 |
補正 | 中敷 |
ここにこだわった
せっかくオーダーするならということで、ああしたいこうしたいという想いは、一通り伝えてバランスを見て組み入れてもらった。
- カールフロイデンベルグのカーフ
- スキンステッチ
- サイドシーム
- 新ラスト
- 中敷で補正
カールフロイデンベルグのカーフ
今はなきドイツのタンナー。
ネット上では2002年に廃業したというのをよく見かける。
当然このタンナーの現存する革は、デッドストックのものになる。
漠然としたイメージでは、「昔の有名なタンナーの革=良い革」みたいなことをよく聞くが、素人目にはあまり詳しくは分からない。
しかし、この革も見て触ってみて、艶が綺麗できめが細かいことは分かる。
カールフロイデンベルグだから
デッドストックだから
という理由ではなく、シンプルに綺麗だからという理由でこの革を選択した。
スキンステッチ
スキンステッチの施されたUチップは、舘さんに作ってもらうと決めていた。
OEMを含めて年間400足近いスキンステッチを行なっている実績はもちろん、その現物を見せてもらったのが一番の決め手。
なんと言うか、安心感が最もある。
サイドシーム
スキンステッチの施されたUチップはエドワードグリーンのドーバーなど、ひとつの答えのような人気モデルが存在する。
最初はこうしたモデルに寄せることも考えた。
でも、せっかくオーダーするならオリジナリティが欲しい。
そこで舘さんに相談してもらった案が「サイドシーム」
しかも、そのシームもスキンステッチで入れると言う妙案。
これは全く思いつかなかったし、面白い。
二つ返事で、デザインに組み込んでもらうことにした。
仕上がりも大変満足。
何より見たことないデザインだったので、感心すらした。
現在は、SANTARIのHPでもデザイン一覧の中に、SIDE SEAM U-TIP / 5EYELETというモデルが記載されている。
少し変わった、でも定番のデザインを崩していないUチップを探している方は、一度ご相談してみると面白いかもしれない。
新ラスト
SANATARIのラストはいくつか種類があるが、私の選択したのはSAN-05でサイズは8。
展示会でこのラストを試着させてもらったが、細足の方には特に推奨できる。
足を入れて最初に思ったのは、踵のつかみがしっかりしていること。
丸みがあり、履き口を狭くして踵を掴むというよりは、全体を小ぶりにして踵全体をしっかり覆うイメージ。
これだけ踵が小ぶりに仕上がっているので、靴全体のシルエットを見たときにはグラマーな仕上がりに見える。
また、このラストは薄さも攻めている。
外観だけ見ると、このデザインの靴ではそこまで感じられないかもしれないが、トゥから二の甲、一の甲と足にかなり沿った作りになっている。
私は一の甲がかなり高いので、その辺りを調整してもらった。
かなり攻めたラストだが、最善のシルエットにカスタマイズしてもらえる。
おかげで羽の開きもバッチリだ。
ちなみにこのラストで作られる方がいたら、純正シューツリーを強く提案する。
市販の最大公約数を狙ったシューツリーだと合わないものがほとんどだろう。
中敷でサイズ補正
この靴のサンプルを履かせてもらった時に、少しつま先が当たることがあった。
舘さんからは、足のどの辺りに当たるのか?どんな状況(歩行時など)に当たるのか?
と言ったところをお伝えしたところ、足が滑って指が前方に当たってしまっていることがわかった。
そこで、提案してもらったのが中敷で補正すること。
2種類の中敷を試させてもらった。
その片方の中敷を入れるとあら不思議。足が滑って当たることが無くなった。
そんな上手くいく?って思われるかもしれないが、本当に改善した。
色々あったけど対応力がさすが
実はこの靴をオーダーしてから、かなりの日数が経過している。
当初、ベイカー社ロシアンカーフで同モデルのオーダーをしていたが、舘さんからこの革(この個体?)は靴に向かないのでお作りして渡すことがどうしてもできないと連絡をもらった。
実際に銀割れの様子を送ってくださり、キャンセル可能であることや代替案も提示してくれた。
本音を言えば、少し残念ではあった。
しかし、長く履ける靴を見据えた時に、正直にお伝えいただけて安心と信頼がより一層高まった。
その後、どうするか迷っていたが、ちょうどSANTARIの展示会にも顔を出していて、そこでカールフロイデンのカーフを見せていただいた。
見た目も去ることながら、その手触りも好みだったため、この革でオーダーすることにした。
贅沢すぎる代替案。
着用シーン
この靴は外羽のUチップということもあり、オンオフ限らずに履くことを想定している。
デニムと合わせたり、スラックスと合わせたりと登場シーンが多くなりそうだ。
おまけにダークブラウンという色味は、相性にも苦労しない。
右:INCOTEX × SANTARI
ギャラリー
最後にこの靴の画像をこれでもかと載せる。
どの角度から見ても良い眺めの靴だ。
今後は履き込みによって、どんな表情になっていくのかを見ていきたい。
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