迷った末に万年筆を購入
私は基本スタンスとして長く使えるものに手を出しがち。
たとえ、コストをかけずに手に入る代用品が存在していても、使うほど味が出るようなモノにはもっぱら目がない。
ただし、それは実用性の伴うモノに限る。
そんな中でこの万年筆を手に入れることにはずいぶんと悩んだ。
というのも、
- デジタル化が進み書くことが減った
- 書き心地のよいボールペンはいくらでもある
こうしたことは誰もが感じつつあるだろう。
現に文具メーカーも万年筆を売り出す際に、デジタルが普及したからこそ万年筆のような手書きに惹かれるといった宣伝文句を見たことがある。
私は手書きに対する思入れはそこまでなく、先に述べた実用性が伴うかという点で買うかどうかをためらっていた。
それでも、自分の生活を改めて見直してみると、手帳は手書き、仕事上でも何か書くという場面は意外にも多くあった。
しかし、ぶっちゃけたことを言えば、ボールペンで事足りる。
使用機会も限られている上に、何かを書くという行為において万年筆である必要はないのだ。
それでも私が万年筆を買ったのは、「なんかカッコいい」と思ったから。
本当にこれだけなのだ。
手帳に添えてある明らかに普通のペンと違う外観、文字を書いてる時に一際目を引く形状のペン先。
万年筆を所持してない時には、周囲で使用している人に憧れを抱いたものだ。
でも、万年筆を何本も揃えることは考えていない(今のところ)。
だからこそ、自分の気に入った極上の1本に巡り会いたいと思っていた。
購入したもの
メーカー | DIPLOMAT |
モデル | エクセレンスA2 14K |
色 | グリーン |
ボディの素材 | 真鍮 |
ペン先 | 14金 |
文字幅 | EF |
機構 | カートリッジ/コンバーター両用式 |
キャップタイプ | |
価格 | ¥ 44,000- (tax in) |
DIPLOMATとは?
DIPLOMATは1922年創業し、まもなく100年を迎えるドイツの老舗文具メーカー。
設立当初から「最高の品質」「精密な職人技術」「小売重視」を基本理念としており、ドイツで初めてカードリッジの万年筆を導入してその名を轟かせた。
なぜDIPLOMATのこのモデルに?
この万年筆を購入した理由は使いやすかったのとその見た目に惹かれたからだ。
普段使いすることを想定していたため、書き心地やあきのこない好みのデザインであることを重視した。
選んだ理由
ボディーがグリーン
緑色が好きなので、ボディの色はこれに絞って探していた。
エバーグリーンゴールドと命名されていたが、その名の通り美しいグリーンを主体に部分的にゴールドが使われている。
重量がある
万年筆を選ぶ上で、いくつか試させてもらったりしたのだが軽いものが多かった。
その理由は、大半は樹脂で作られているモノが多かったのだ。
私の場合は、ある程度重い方が書きやすかったので真鍮で作られたこのモデルは理想系だった。
細字(EF体)
やはり日本語はハネやトメに加えて、細かく画数の多い文字があるため、細く書けるEF体にした。
傾きによって太さが変わるのが面白い。
DIPLOMATの中では最も細いモノとなるが、日本製の万年筆はさらに細く書けるものもあった(XF、UEFなど)。
とは言え、重いボディに可能な限り細い線となるこのモデルで普段使いする際には問題はないだろう。
美しいペン先
説明不要で素敵だと思ったのはこのペン先。
板状の金属を曲げて作られ、ブランドロゴが刻まれている。
本当に細かい仕事がなされているのがすぐに分かる。
経年変化
これはこの万年筆に限らずに言えることだが、経年変化を楽しむことができるモノというのも購買意欲を刺激した。
ペン先で言えば、使用し続けることで書き方の癖を吸収して使いやすくなっていくはずだ。
また、長く使うことでインクが少しづつ沈着して、ペン先の色味も変わっていく。
さらに、ボディは真鍮のモノなので金属特有の酸化による変化もあるかもしれない。
こうした使い込むことによる変化を楽しみにしたい。
必要なメンテナンス
万年筆は定期的にメンテナンスをする必要がある。
このメンテナンスを怠るとインクが出てこなくなってしまうようだ。
よく使うこと
購入時に言われたメンテナンスで一番大切なことはよく使うことだそうだ。
というのも使用しないとインクが固まり出にくくなってしまう。
中には、万年筆のキャップを閉じることで密封してインクの酸化を防ぐモノもあるようだ。
そういったものは1年くらい使わなくても、インクがちゃんと出るんだとか・・・
洗浄
よく使っていても、数ヶ月に1度の手入れは必要であり、具体的にはペン先に水を通して洗浄する。
逆に1ヶ月以上使わない場合には、インクを入れずに保管する。
また、インクの色を変える場合も洗浄を行ってから、新しいインクを入れることが推奨されている。
下向きにしない
万年筆の構造上、下向きにし続けておくとインクが漏れ出すことことがある。
基本的にはキャップについてるクリップをひっかけておけば下向きになることはないので、私は手帳に挟んでいる。
筆記具として優れているのか?
私の感じた魅力はほとんど力を加えずにさらさらかけるということ。
紙の上を流れるようにペンが走るので、ストレスなく書くことができる。
他にも、よく言われる事として、筆圧や角度によって線の太さが変えられたり、インクを変えることで1本の万年筆で複数の色で書けることが魅力として掲げられている。
でも、ボールペンと比較した時に、この万年筆が文字を書く道具として見た時には、特別優れてるモノだとは思っていない。
というのも、万年筆は書く紙を選ぶし、ペン先をしたに向けておけばインク漏れのリスクもある。
また、手入れ次第で長く使えるのは間違えないが、替のインクにもそれなりのコストはかかる。
そもそも、安くて書きやすいボールペンがありふれた中で、機能面やコスト面で秀でているモノにはなり得ないと思う。
紙にインクをつけて文字をかくというモノ以上にこだわりが無い方であれば、わざわざ万年筆を選ぶ必要は無いだろう。
それでも、精巧な見た目のカッコよさはボールペンよりも良いモノだと思う。
これはもちろん個人の尺度なので、万人に当たるとは微塵も思っていない。
でも、こうしたモノにこだわることが粋なんじゃないだろうか。
手のかかるものを愛でる
世の中のあらゆるモノが機能面だけみればコストのかからない代用品があり、今後もそれが加速していくと思う。
お金をかけずに生活に必要なものが安価で手に入るのはとってもありがたいことだ。
でも、身の回りの何もかもをそういったモノで固めてしまうのは、いささか退屈ではないだろうか?
機能面うんぬんだけでなく、自分自身が本当に好きだと思えるものを購入するときのワクワク感こそが良いモノを買ったと感じる。
衣服や靴にしても、こだわらなければほとんどコストをかけずに手に入れることができる。
モノの溢れかえっている現代において、万年筆のような機能面では、時代にやや逆行するような側面があるにせよ、カッコ良いからという理由で持ち続けるのは私は好きだ。
今は万年筆の外観的に特徴に惹かれているところが大きいが、今後使用するにつれて機能面というところでも変化があるのかもしれない。
手入れも必要だし、使わないとインクも出なくなってしまう本当に手のかかるモノだが、自分の文具の相棒として大切に使っていきたい。
実はこの万年筆は28歳の誕生日にいただきました。
迷いながらも欲しかったモノなので、記念の品となりそうです。
手間もかかりますが、長く大切に使っていこうと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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